平手友梨奈、彼女は欅坂に貢献し続けていた。
2016年、14歳という若さでセンターに抜擢。初シングルではアイドル界を震撼させる作品となる。
その衝撃は、彼女の活躍なしでは語れない。
最年少センター、度肝を抜くパフォーマンス、見るもの全てを魅了する表現力。メディアや世間から高く評価された彼女は、欅坂の顔となり、軍隊の先頭を歩くグループの道標となった。
2nd,3rdと右肩上がりに成績と評価を上げ、実績を積むことで研ぎ澄まされゆく。彼女は間違いなく、このグループに貢献していた。欅坂がここまで大きくなった要因の一つと言えるだろう。
評価が一変し始めたのは2017年、夏。欅共和国(2017)でエネルギーを全放出した彼女は、それ以降のパフォーマンスに安定感が失われていた。真ん中の牙城が崩れることで、ファンの間で囁かれ続けていた平手依存説が更に高まっていく。いつしか、強い批判と共に、貢献するどころか、足を引っ張っているとまでの言われように。
大舞台では圧倒的な存在感を見せるものの、かつての平手を想い嘆く者が続出するほど彼女は変わった。過去の幻影に囚われるファンは少なくないだろう。貢献度が減ったというファンもそこらじゅうにいるはずだ。
ついに平手は、少しの期間グループでの活動から離れた。
欅坂46の運営は、ほくそ笑んでいる。
ちょうど今泉が復帰、ガラスを割れをWセンターにすることで新しい風を吹かせることができた。平手が不在のその期間、アニバーサリーライブが大成功するという、世論形成にはこれ以上ない出来事だからだ。
そして平手への批判の声は、次々に復帰を待ち望む声に変わっていく。彼女をグループ活動から離したことは正当化され、欅坂は戻りやすいムードを作り上げる。
普通であれば、前作センターのエースである平手友梨奈が不在なのは積極的には持ち出したくない話だったが、小林と今泉の躍動、他のメンバーでのセンター回しなど、あらゆるシチュエーションが、平手の名前を出すことにポジティブな側面をもたらしていた。
彼女が復帰した時には、個性の強いキャラクターが出来上がり、絵に描いたような物語や、映画主演などで話題性に困らず、普通の状況をそうじゃないように攪乱させて、感覚を麻痺らせることで大物のように仕立てあげた。
そして今に至る。
上記に記したどの期間も、運営側は平手友梨奈の幻影を上手く利用し、ファンの間ではずっと、平手のことについて話しているのだ。
彼女は今もまだ、欅坂46に貢献し続けている。
1. 無題
蜘蛛さん