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  <title>田</title>
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  <description>クソ小説の捌け口</description>
  <lastBuildDate>Wed, 07 Sep 2022 10:37:28 GMT</lastBuildDate>
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    <title>放課後の蠢動（井上梨名　×　森田ひかる）</title>
    <description>
    <![CDATA[本文を読むには<a href="https://ikutechi46.asukablog.net/Entry/67/">こちら</a>からパスワードを入力してください。]]>
    </description>
    <category>初めに</category>
    <link>https://ikutechi46.asukablog.net/Entry/67/</link>
    <pubDate>Thu, 10 Feb 2022 16:10:28 GMT</pubDate>
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    <item>
    <title>小説　「森田ひかるの黙示録」　Ⅳ</title>
    <description>
    <![CDATA[「欅坂46、二期生の森田ひかるです。よろしくお願いします」<br />
<br />
何度、この自己紹介をしただろう。あれから私は、欅坂46に配属されることが決まり、直向きにアイドル活動に励んでいた。<br />
<br />
励んでいる、つもりだった。<br />
<br />
決して、平坦な道でないことは、加入前からわかっていた。このグループに加入希望だったが、元々はエースの人とその他、みたいなチーム状況というのは知っていたから、険しいアイドル人生になることは目に見えていた。予感は的中して、加入してから一年は楽曲に参加することも出来ず、ライブも卒業生メンバーの穴埋め、もちろん二期生としては、同期と同じイベントをしたり、仲良くなったりとポジティブな側面も沢山あった。<br />
<br />
でも、この活動を続けていると、未だにまだ過る時がある。上京先の玄関に立てかけてある傘を見るたびに思い出す。脳裏に焼き付いては離れない半分の記憶。<br />
<br />
結局、握手会やライブで彼を見ることはなかった。連絡もあれから一切取っていない。<br />
<br />
そういうことを意識していることもあってか、身動きの取り方がわからなくなる瞬間が場面場面であった。欅坂にもまともに貢献できず、やる気がないと揶揄されたり、上の空であることを指摘されたりと、私自身のグループにおける肩身も狭くなる一方だった。ライブでは出番も少ないし、任されたタスクをこなしては、また次の仕事に向かって。<br />
<br />
私はここまで、彼の夢と自分の夢を重ねて、報いるために自分自身を突き動かしていた。決意や執念だけで前に進めるほど、私の道はなだらかではない。<br />
<br />
もし、途中で諦めてしまうと、今までの努力が水泡に帰してしまう。だけど、彼への想いだけが、私の原動力となっていた。<br />
<br />
でも、メンバーの存在はとても大きく、心の支えになることばかりで。特に同期の二期生は、初めてこんなに全てを許し合える人ができたと思えるぐらいには、信頼できる8人だった。<br />
<br />
この8人の一生懸命さは、時に眩しく映ることもあった。荒んだ心を癒してくれるような、甘えた心をつついてくるかのような。<br />
<br />
2020年の1月23日。私たちのグループ事情を大きく揺るがす出来事が起こる。それは絶対的センターの脱退と、主要メンバー二人の卒業だった。<br />
<br />
その報を聞きつけたメディアは、世間に酷くこのチームを辱める文言を扱っていたらしい。ファンの間でも、欅坂は終わった。解散した方がいい。絆なんて存在してなかった。そう言い切られていることだってあったらしい。<br />
<br />
2020年、6月某日。私たち欅坂46は、運営スタッフに呼び出され、突然の宣告が下された。<br />
<br />
「えー、皆さんお疲れ様です。平手の脱退、それにグループ状況、人間関係や週刊誌事情、諸々含めまして、審議を重ねた結果。欅坂46は解散することになりました」<br />
<br />
気安く言って退けたが、私たちにとっては信じ難い決断だった。<br />
<br />
「10月に解散ライブをして、後に事務所に在籍し続け、アイドル活動や別の道での活動を続けたい方は、個人でディスカッションをして、考えて行くつもりです。とにかく、解散ライブに向けて、少しずつ準備をしていきましょう」<br />
<br />
皆、感情を押し殺して固唾を飲み、聞き込んでいた。涙するメンバーもいた、落胆して肩を落とすメンバーもいた。私の心情は、一体なんと叫んでいるんだろう。<br />
<br />
「ちょっと旧二期だけ、隣の部屋に集まれる？」<br />
<br />
松田里奈がそう旧二期に言いかけると、小さい会議室のような部屋に呼び出された。<br />
<br />
「みんな、全く整理がついていない状況やと思うけど、聞いて。確かに解散を言い渡されて、今からどう活動していったらいいかわからないと思う人ばっかやと思う。けど、これは逆にチャンスなんじゃないかって思うのね。これを機に、今まで見つからなかった自分自身の足りなかったこととか、何を失っていたのかとか、見つめ直すいい機会だと思うんだよね。だから、解散まで四ヶ月あるけどさ、上手に使って幅を広げない？私、このまま欅坂は死んだと言われ続けるのは悔しいよ？」<br />
<br />
その松田の熱い言葉に合わせて、田村も続ける。<br />
<br />
「うん。そうやな。私もちょっと、甘えとったというか。やるべきこととかもきちんと出来てへんかった気するし、ちゃんと追加のメンバーやけど、胸を張って欅坂の一員です！と言えるようなメンバーになれるよう、これから頑張っていきたいって思う」<br />
<br />
各々が、それらしい見解を示してみせた。私はというと。「ごめん、今はわかんないから、また後日考えるね」の一言で終わらせてしまった。<br />
<br />
それもそう、私はアイドルになってから、半ば自分の真実と向き合って来てしまったから、こうなってしまったことに理由がついてしまう。彼の夢の呪縛から逃れられないままでいた。<br />
<br />
ひかるの夢が、俺の夢だから。そんな言葉一つに、自分の夢も重ねて、未練との決別ができていないアイドルが、そう活躍できるほど甘くはない。ある意味、こうなるべくしてなったのだと自覚している。<br />
<br />
答えを探そう、自分自身を見つけ出そう。なんてする必要なんてなくて。もう見えている解答を突き詰める余裕すら私には一切なかった。ただ、過ぎゆく時間が惜しく、メンバーからともう少し長く居たいと思う日々が続くだけ。そんなある日のことだった。<br />
<br />
2020年、8月21日。夜が更けて、街の明かりが消え始める時間のことだった。<br />
<br />
小腹を空かせた私は、近くのコンビニで軽食を買おうとして夜道を歩いていた。<br />
<br />
何かを思い出したかのように、空を見上げると、そこには青い月が薄らと浮かび上がっていた。どこか聞き覚えのあるような鈴の音、見覚えのあるような蒼い月灯り。頬の火照りを冷ますような風。そうだ。安らぎのよすがに身を預けたあの夜。<br />
<br />
あのロマンティック過ぎた夜が、急に頭の中から引っ張り出された。<br />
<br />
頭に激痛が走る、電流が駆け巡るような感覚、身の毛がよだつ、いても立ってもいられなくなりそうで。<br />
<br />
頭を抱え込んだまま道なりを外れ、ネオンが切れてる寂れた裏通りで気持ちを落ち着かせる。<br />
<br />
「はぁ&hellip;はぁ&hellip;」<br />
<br />
激しく息切れするほど、急な出来事だった。松田が「解散までの間は、自分と見つめ合う時間にしよう」と言ったから、自分の中に飼っているごうという存在が、獣のように侵食しては情緒を狂わせていっている。自分のためじゃない、彼のために。そう思えば思うほど、メンバーには申し訳が立たなくなって、自分が憎くなる。だけどそう思わないと彼の声が私の頭から消えることはない。<br />
<br />
「お嬢ちゃん、こんなところで何を？」<br />
<br />
意識が朦朧とする中、私の隣に一人の魔道士のような長い服を着たお爺さんが立っていた。<br />
<br />
「どうやら、この世界に苦しんでいるようだね。ちょっと面白い話があるから聞いていかないかい？」<br />
<br />
普段なら、こんな怖い人について行くことはない。ましてや、いかにも見た目が怪しい人物だ、即座に断って逃げるように引く場面だろう。だけど私は、正常な処理ができていなかったのか、はたまたこんな胡散臭い「面白い話」というのが、どういうものなのかという悪質な好奇心が働いたのか、、<br />
<br />
「はい、聞かせてください」<br />
<br />
そう言い、ゆっくりとお爺さんの背中をついて行ってしまった。<br />
<br />
「君は、時を渡りたいと思ったことはないかね？」<br />
<br />
道中で、不意にそう尋ねられた。<br />
<br />
「基本的には、我が道この旅だと思う人間なので、ないんですけど、最近は少し思うようになりました。過去に遡って、あの局面でこういう選択肢を取っていたらどうなっていたんだろうって」<br />
<br />
「そんな君に、いい話がある」<br />
<br />
お爺さんは、ニヤリと笑うと、次の言葉を続けた。<br />
<br />
「タイムスリップが、できるのじゃ。もちろん、一回きりになるがな」<br />
<br />
そんな話があるわけがない。頭の中ではそう思いながらも、私はあの時に「戻りたい」と、叶うならば&hellip;<br />
<br />
「&hellip;本当ですか？」<br />
<br />
「あぁ。この森を抜けた先にワシの研究室がある。少し未完成品が故に不安要素もあるが、あらかた上手くいくじゃろうて。もし、お嬢さんが望むのであれば、この機能を試してみようと思うのじゃが&hellip;」<br />
<br />
耳を疑う話だった。このまま騙されて、薬とかを盛られたり、違法売春とかで私の人生は奈落に落ちて行くのだろうかとさえ思う。ただ今は、もしどうにかなる手段があるとするならば、二期生のみんなと、欅坂46を救えるというなら、私は。<br />
<br />
「私の望む時まで、巻き戻ることができますか？」<br />
<br />
「それは難しいやも知らんが、上手くいけば大丈夫じゃろうな。しかし、時を渡る上で気をつけねばならぬ点が少々多くてな。まずは、先ほども言ったように未完成だ。とてもじゃないが、思い描くその時代に巻き戻れるかも保障はできん。あと、持っていけるのは基本的に自分の身体のみだ。もしかしたら、手に持っている荷物も運べるかもしれんが、期待できんだろう。そして何よりも、この未来という運命を、大きく変えられるかは君次第だ。今よりもどん底の世界が待っているかもわからんからな。そして何より気をつけるべき点は、今の記憶が全て無くなる可能性があるということじゃ。時は戻るが、自分の記憶はなくなり、遡った期間で育まれた思い出が無に帰るかもしれん。そうなると、その時の自分が分岐点であるとも気づかず、同じ道を辿るかもわからん。それでもいいというのなら、君に力を貸そう」<br />
<br />
もしも、それが事実なら。本当なら。<br />
<br />
「わかりました。少し考える時間が欲しいです」<br />
<br />
「うむ、よかろう。三日後に考えをまとめて、今日と同じ時間に寂れた裏通りにまた来たまえ」<br />
<br />
「あ、あの！それって、一人でしか戻れませんか？」<br />
<br />
「そうなるだろうな。では、三日後にまた&hellip;」<br />
<br />
お爺さんは、ゆらゆらと霧の森へと向かい、姿を消した。<br />
<br />
その時渡りは、時間を巻き戻して収束するのか、全くのパラレルワールドになるのかは、私にはわからない。前者だとするなら、可能性に懸けたい。<br />
<br />
このまま黙って、一人で勝手に時を渡ろうとは思わなかった。次の日、私は同期の8人を自分の部屋に集めて、うち明かそうと考えた。<br />
<br />
集合時間になる数時間前、私は部屋の片隅で一人座り込み、少し考えことをしていた。<br />
<br />
私は時折、こう思うことがある。「また会おう」だとか「ずっと一緒に」だとか、未来の約束というのは、すべきではないと。それは将来的に、己を縛り付ける鎖になってしまうんじゃないかと。<br />
<br />
彼の夢というのは、この私からは二度と離れない、切っても切り離せないもの。大好きで、大切だからこそ、剥がれなくなるこの感覚が、私をずっと苦しめている。<br />
<br />
部屋のチャイムが鳴ると、同期がぞろぞろと部屋に押し入ってきた。8人とも、イマイチ浮かない表情で、ゆっくりと地べたに座る。<br />
<br />
「ひかるが集めるなんて珍しいね、今日はどうしたの？」<br />
<br />
松田が少し笑みを浮かべながら、私にそう聞いた。<br />
<br />
「今日はね、ちょっと信じてもらえないかもだけど、言いたいことがあって呼んだの。<br />
<br />
<br />
欅坂と、みんなを救うために過去に戻りたいって思うんだ。私」<br />
<br />
まんまとこんな話を鵜呑みにするはずがない。私は、かい摘んで何があったかの事情を話す。<br />
<br />
「私が精神的に追い込まれていた夜があってね、とある街中から外れた裏通りにいたの。そしたら、めちゃくちゃ怪しい人が近寄ってきてね、タイムスリップをしたくないか？って尋ねられたの。ちょうど、解散を言い渡されて、みんながこれからどうしようか考えているときに本当に申し訳ないんだけど、もしそれが本当だったら、未来を変えられるんじゃないかなって思って。だから、私は」<br />
<br />
「そんなの絶対嘘だよ！騙されてるって！！」<br />
<br />
山﨑が遮るように、大きな声で否定してきた。すると、井上も続けるように、<br />
<br />
「そうだよ、何か悪い企みがあるんだよ。そもそも、そんなことあるわけないんだし、信じない方がいいよ」<br />
<br />
皆が「嘘だろう」と一蹴してくる。それもそうだろう、未だに私も半信半疑なんだから。だけど、、<br />
<br />
「でも私は、もしほんの僅かでも、欅坂が変われる可能性があるとするなら、それに懸けたいと思うの。現実が受け入れられないわけじゃない、今までして来たことが無駄とも思わない、だけど私は、このグループを死なせたくないから&hellip;！」<br />
<br />
私の言葉を受けて、一拍置いた田村がそっと呟く。<br />
<br />
<br />
<br />
「ほんまに、それが願いなん？他のこととか起因してないん？」<br />
<br />
<br />
言葉が続かなかった。私の心は見透かされている。そんな私に、藤吉が優しい目を向け、<br />
<br />
「ひかる、もし言えないこととかあるなら、無理にいう必要はないと思うけど、素直な想いを聞かせて欲しいな」<br />
<br />
どこへ逃げたって、どこにも道がない。右も左も、塞がる壁。<br />
<br />
私は、胸の奥の叫びを聞き、皆に伝える。<br />
<br />
「うん。そうだね。ねぇ、教えて。みんな、、<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
私はアイドルになる前、大切な人と学校生活を共にしててね。その人が、私の夢を応援することが自分の夢だから。って言われてから、その言葉に縛り付けられてしまって。大切だからこそ、それを無に返したくないからこそ、私はその人のために、自分の夢と重ねながら、アイドル活動をしてきたの。ねぇ。どうしたら、私は大好きな人を救ってあげられる？欅坂に加入したあの日からずっと、私はあの人の夢を報いるためだけに活動してきた。全て他人のためだけに、彼の夢を叶えるためだけに坂を駆け上ってしまった。だけど、同期のみんなが温かく接してくれる程に、今していることが正解なのかがわからなくなってしまった」<br />
<br />
その言葉を受け、関が私の心をそっと触れるかのように、<br />
<br />
「もう、十分苦しんだよ。無理、しなくていいよ」<br />
<br />
間髪入れずに、松平も続け、<br />
<br />
「自分を許してあげればいいんじゃないと思うよ、私は」<br />
<br />
涙が溢れ出そうだった。声を震わせながら、私は尋ねる。<br />
<br />
「じゃあ&hellip;&hellip;私は、誰のために&hellip;&hellip;&hellip;何のために、生きていけばいいかな&hellip;？」<br />
<br />
武元が、諭すように口を開き、<br />
<br />
「それを見つけるためなら、時渡りしてもいいと思う。ひかるの人生は、ひかるのためのものだよ」<br />
<br />
嘘一つとない瞳を向け、松田が続ける。<br />
<br />
「自分の、信念のために生きる。ひかるは、そういう人でしょ」<br />
<br />
「私の&hellip;信念&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
<br />
本当に、許されるのだろうか？彼の想いを報いることだけのために生きてきた私に&hellip;<br />
<br />
「うん、思うままにするべきだよ。だからその時渡りの選択肢、私は尊重するよ」<br />
<br />
迷いがない、松田の眼に何度助けられただろう。ブレない芯を持った同期に、どれほどの愛を受けただろう。私の信念のため、私の人生のため。<br />
<br />
みんなが私の手を握る。わかったよ。わかったんだ。<br />
<br />
<br />
<br />
「私&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
<br />
迷いなんて、もう無くなった。私は、私自身が正しいと思う行いをしたい。<br />
<br />
それが、私に出来る贖罪だ。<br />
<br />
「時を渡って&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
<br />
もう、彼の夢に縛られるのはやめた。私には私の成すべきことを&hellip;&hellip;いや。<br />
<br />
「欅坂46を、取り戻したい」<br />
<br />
私には私の、命を懸けてでも成し遂げたい夢があるのだから。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
8月24日、街灯が消え始める頃。私たち二期生9人は、ネオンが切れてる寂れた裏通りに来ていた。<br />
<br />
「おやまた、随分と大人数で来たんですな」<br />
<br />
振り返ると、怪しげなお爺さんが、前と同じ服装でやって来た。<br />
<br />
「何？如何にも怪しいじゃん」<br />
<br />
「てかあんな服、この世に存在するんw」<br />
<br />
「めっちゃ不気味やし」<br />
<br />
私たちは、お爺さんと少し距離を取りながら、森の中へ誘われていく。少し進むと、見た目さら地の広間のようなところに出てきた。<br />
<br />
「ほれ、あそこから地下に降るぞ」<br />
<br />
お爺さんが指を刺した先に、小さな窪みから下に降りる階段が見える。恐怖心を押し殺し、一歩ずつ降りていく。<br />
<br />
出できたのは、如何にも近未来のような空間だった。数え切れないほどの配線とか、綺麗に噛み合って動き回る歯車とか、異質な液体を詰め込んだフラスコとか、非現実的な世界にたどり着いた気分だった。<br />
<br />
「ほいで、時を渡りたい者は誰じゃ？」<br />
<br />
私は、一歩だけ前に出て、か細く返事をした。<br />
<br />
「ほう、以前説明は受けた通りだ。お友達の皆には、説明してあるのかね？」<br />
<br />
「はい。覚悟の上で来ました」<br />
<br />
「うむ。では、この小さな実験ポッドに入ってもらう。さすれば、こちら側の声も遠くなろう。気づけば、意識も失っておるはずじゃ。かける言葉があるんじゃったら、今のうちに済ましておくんじゃな」<br />
<br />
みんなの方を振り返る。うん、ちゃんと映ってる。フォーカスの合った被写体が。<br />
<br />
「ひかるちゃん！！」<br />
<br />
松平が、カバンから何かを取り出そうと探ると、<br />
<br />
「これ！みんな覚えてる？黒い羊の特典で、私たちが学校行ってタイムカプセル埋めたこと！」<br />
<br />
みんなが埋めたカプセルを、松平が持ってきてくれていた。<br />
<br />
「この世界が巻き戻って収束するとしたら、多分記憶なんてなくなると思うけど、ひかるちゃんはこれを持って時渡りして欲しいなって。思い出せる材料になればいいなって！」<br />
<br />
「ありがとう、きっと思い出すよ」<br />
<br />
つれない顔をして、藤吉が続ける。<br />
<br />
「もし、そのカプセルがなくとも、私たちはきっと思い出すよ。だって、ほら。楽しかった&hellip;わけだし」<br />
<br />
井上が藤吉を小馬鹿にするように、<br />
<br />
「楽しかったってどないしたん、めっちゃ素直やけど夏鈴ちゃんwww」<br />
<br />
「もうええから！」<br />
<br />
少し笑い合って、田村が一つ提案をして来た。<br />
<br />
「最後にみんなで輪にならへん？両手繋ぎ合って」<br />
<br />
少し恥ずかしいと思いながらも、私たち9人は両手を繋ぎ、大きな輪になった。<br />
<br />
<br />
<br />
「一斉に口を噤んで、みんなで目を瞑って黙ってみよ」<br />
<br />
<br />
<br />
武元がそういうと、皆で一斉に目を閉じた。ただ、両手に伝わる温もりと、今まで欅坂として活動してきた思い出が、走馬灯のように頭に浮かぶ。<br />
<br />
<br />
<br />
きっと、みんな、同じ気持ちだったんだ。<br />
<br />
<br />
<br />
啜り泣く声が聞こえる、咽び泣き始める声すらも。<br />
<br />
<br />
<br />
大好きなみんなと。<br />
<br />
<br />
<br />
そっと目を開けると、一人一人が、私に思いの丈をぶつける。<br />
<br />
<br />
<br />
「るんるんやったら大丈夫、また私を見つけて仲良くしてな！」<br />
<br />
「同じ九州出身として、めっちゃ誇りに思っとった。絶対、このグループを救ってな」<br />
<br />
「ほんま、ばり頑固で志高いひかるが、過去に戻りたいとか思わんもんやとおもてたからな。行くからには頼んだで」<br />
<br />
「ひぃちゃんにしか出来へんことがある。絶対、夢叶えてな」<br />
<br />
「欅坂を救うって約束、破ったら許さへんからな」<br />
<br />
「ひかる、過去にいってもまた私を見つけ出してね。大好きだよ」<br />
<br />
「二期生が9人で、私の名前見ても知ってる？とか聞かないでよ。それぐらい思い出す自信あるんだから！」<br />
<br />
「ひかるに託すよ。そして、また坂を上ろうね。どんな道であっても」<br />
<br />
背中をそっと押し出してくれるだけじゃなく、決意を抱かせてくれた同期。もう、一寸のブレもない。<br />
<br />
私は実験ポッドの中にゆっくりと入り込む。みんなが寂しい顔をしているのもわかる。でも、もう振り返らない。<br />
<br />
ありがとう、私にとっては、みんなが愛の救世主だったよ。<br />
<br />
ゆっくりと身体を寝かせる。頭の中がボーッとする。何だか、力が入らない。私は、私は&hellip;<br />
<br />
歯車の回転が加速する、少し地鳴りがして、実験室が揺れ出した。<br />
<br />
「それじゃ、君の願うその時にまでな」<br />
<br />
お爺さんは、実験ポッドの上に浮かぶオーブを真っ二つに叩き切った。<br />
<br />
時空の狭間が揺れ動く、もう私には、何も。<br />
<br />
松平から渡されたカプセルを片手に。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「ひかる！！！私たちはもう一回！この9人で、アイドルをするからね！！またひかると旅をするから！！」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「また会おうね！」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「ひかる！今日は始業式でしょ、ぼけっとしてないで。大事なクラス分けなんじゃないの？」<br />
<br />
「ううん、そんなに興味ない」<br />
<br />
半分寝ぼけながら、母親にそっけない返答をしてしまった。私の名前は森田ひかる。多分、私のことを次のクラスで知ってる人はほとんどいない。<br />
<br />
「そんなこと言わんで、しっかり楽しまないかんよ！」<br />
<br />
母親はそう言いながら、玄関で立ち尽くす悲壮感に漂う私の背中をポンと押し出した。<br />
<br />
「いってらっしゃい！」<br />
<br />
「はーい」<br />
<br />
春休みを終えて、どこか懐かしく感じる通学路を歩き始める。無駄に長いバス停までの砂利道、バスも数えるのが面倒なぐらい駅を通過してる。終電に着くと、ずらずらと同じ学校の生徒たちが希望に満ち溢れた顔で、坂道を上っている。この滑らかな上り坂を歩くと、いよいよ三ツ坂の校門。この門をくぐるのは、半年経った今でも慣れないはずなのに、どこか慣れている自分がいた。<br />
<br />
桜が祝福するように咲き誇っている。あ、クラス替えの用紙が張り出されてる。確認しないと、、、<br />
<br />
<br />
「お！！クラス一緒じゃん！！」<br />
<br />
「うっわ！担任絶対あいつじゃん最悪ー」<br />
<br />
私の名前はどこだろう？<br />
<br />
「どけって、え！お前また好きな子と一緒じゃん！」<br />
<br />
「あの人と分かれたよかった〜」<br />
<br />
2年6組、私のことを知っている人はほぼいないって言ってたけど、私が知ってる生徒もほとんどいない。担任の菅井先生って誰だっけ、適当に優しくて、面倒を見るのが苦手そうな人だった気がする。というか、私がこの学校で知っていることって一体何なんだろう？<br />
<br />
その次の日、目が覚めると、外では鳥が囀り、私の部屋では沢山のぬいぐるみが横たわっている。春休みの宿題をカバンに詰めた私は、制服に着替えて嫌がる本能を押し殺し、動きたくないと悲鳴を上げる身体を無理やり起こし、学校に向かった。<br />
<br />
ホームルームでの席替え、菅井先生が小さな箱を取り出し、<br />
<br />
「席替えはくじ引きで行います！私が持ってきたこの箱の中から一人ずつ...」<br />
<br />
何だか胸騒ぎがしよる。不思議とここにいる自分に違和感を覚えとった。<br />
<br />
福岡から来て慣れていないから？いや違う。<br />
新たなクラスで環境が変わったから？いや違う。<br />
<br />
担任だけが喋るこの教室の静けさが、まるで人混みの中で一人佇む喧騒の中にいるようで。<br />
<br />
「それではクジを引いていってください！」<br />
<br />
頭が割れそうになる、耳がキーンとする。何なの、何なのこれ&hellip;！<br />
<br />
「はーい、みんな席ついてー！」<br />
<br />
私は窓際から数えて、縦二列目の一番後ろ。もう一つ左だったら、端だったけど&hellip;<br />
<br />
「えー雨降ってきたんだけど！！」<br />
<br />
「今日はみんな、気をつけて帰るように！」<br />
<br />
担任の無責任の声だけが鳴り響き、帰りの挨拶を終え、ぞろぞろと皆が帰っていく。<br />
<br />
この騒つく感情の正体がわからない。私は、何を思いついたかカバンを取り出し、中身を確認した。すると、見覚えのないカプセルのようなものが入っていた。<br />
<br />
「これって&hellip;&hellip;&hellip;！」<br />
<br />
息を呑んだ。全ての記憶が不意に蘇る。私は、時を遡ったのだと気づいた。約束したんだ、欅坂46を救うのだと。<br />
<br />
窓際の席を見ると、彼が帰りの支度をしていた。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
私の、大好きだった人。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
私は、自分の机にかかった手提げを忘れず肩にかけ、帰宅した。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
今の私がいるのは、あなたがいてくれたから。だから、あなたは。ごうはずっと。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
思い出の中で、じっとしていてね。<br />
<br />
<br />
<br />
今、思い返すと、なんて事ない一日やったんやと思う。<br />
<br />
それでも、その日が私のこれからを、、、<br />
<br />
決定的に変えたんだ。<br />
<br />
<br />
<br />
私は、坂道合同オーディションを本気で受けると親に伝えると、書類審査、二次審査を通過し、4日間に渡るShowroom審査も参加した。瞬く間に合格をすると、欅坂46の加入が決まり、全力で、自分の人生のために、信念のためにアイドル活動を続けた。同期は同じく9人、全く同じメンバーだけど、初対面の反応だったから、皆は記憶がない様子だった。それでも私は、きっといつかは気づく時が来ると信じ、歩み続けた。<br />
<br />
お見立て会、おもてなし会、共和国2019、全国ツアー2019、東京ドーム、全てのことを妥協を許さず、ただ一生懸命に、ひたむきにこなした。<br />
<br />
運命は変わると信じて、私は諦めずに欅坂に魂を捧げ続けた。<br />
<br />
そして、2020年7月16日のライブで欅坂46から世間に衝撃的な発表があった。<br />
<br />
<br />
<br />
「改名をして、新しいグループに生まれ変わる」と。<br />
<br />
<br />
<br />
欅坂46としての、最後の日。ラストライブ二日目。<br />
<br />
一期生さんは、一人ずつフォーカスの当てられた映像と共に。私たち二期生は、9人全員で映像をバックに円になるという演出があった。<br />
<br />
もうわかっている。みんなのことも。<br />
<br />
「dead &nbsp;line」披露後、私たち二期生のオーディション映像と共に、みんなで円になった。<br />
<br />
手を繋いで、笑い合う。手を離して、後ろを振り向くと。<br />
<br />
隣の夏鈴が、また手を差し伸べてきた。それはゆっくり、隣の人に、また隣の人に伝染し、後ろ向きの輪が出来上がっていた。夏鈴が、私に聞こえる声量でつぶやく。<br />
<br />
「久しぶりだね」<br />
<br />
もう、知っているよ。あの時のみんなだって。このラストライブに立って、手を繋いだら、きっと。<br />
<br />
欅坂の運命を変えたのは、私だけじゃない。みんなが居たから。<br />
<br />
世界は収束した、決してパラレルなんかじゃない。だって、あの時解散から、救おうと思ったみんながそこにいるから。<br />
<br />
私は、彼との思い出をじっとさせ、欅坂と二期を救うことを心に決め、自分の信念のために生きることを選んだ。少し異質で、変わっていて。でもそれは、徐々に自信になっていた。<br />
<br />
<br />
過去と未来を繋ぐ今、どう生きるか。<br />
<br />
<br />
自分らしさが誇りに思える今だから、私たちはセンターステージに向かい、<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
ー10月のプールに飛び込んだ。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
ーーーーーーーーーーーーーーーーー<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「ねぇお父さん、ひかるの部屋にこんなカプセルあった？」<br />
<br />
「知らんよ、中には何が入っとる？」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
久しぶり。元気にしてる？<br />
<br />
私？私は元気。世の中はちょっと変わったけど、うん。元気。<br />
<br />
朝起きて、ご飯食べて、本読んだり、映画見たり、しばらくは会えてないけど、私はそんな感じ。<br />
<br />
あ、そうそう。最近、新しいこと始めたんだ。うん、新しいこと。歌ったり、踊ったり。<br />
<br />
世の中はちょっと変わったけど、でも。また、会いたいな。<br />
<br />
手を繋いだり、抱き合ったり、たまに泣いたり、でも、笑ったりして。<br />
<br />
これからさ、また、ちょっとずつかもだけど、変わっていくよ。<br />
<br />
顔を上げて、一歩ずつ、一緒に歩いて行こう。<br />
<br />
うん、決めた。きっと、絶対に会おう。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
櫻坂を登った。その先で。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
ーfin]]>
    </description>
    <category>小説</category>
    <link>https://ikutechi46.asukablog.net/Entry/65/</link>
    <pubDate>Wed, 29 Dec 2021 18:55:46 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">ikutechi46.asukablog.net://entry/65</guid>
  </item>
    <item>
    <title>小説　「森田ひかるの黙示録」　Ⅲ</title>
    <description>
    <![CDATA[「皆さん、本日はお疲れ様でした。結果につきましては、後日ご連絡させていただく形になります」<br />
<br />
Showroom審査は受けずに、最終審査で直接向き合うことにした。<br />
<br />
やるべきこと、今できる限りのことはやり遂げた。歌もダンスも、トークも限界まで引っ張った。これは、私の闘いでもあるけど、彼との交わしていない勝手な約束のようなものへの弔い合戦みたいなもの。受かったら、晴れて私は子供の頃の憧れだったアイドルになれる。落ちたら、また堕落してつまらない学校生活に逆戻り。正直、どっちでも良かった。<br />
<br />
帰る際、周りの子が話したり、仲良くご飯に行こうとしている人たちもいた。私はその喧騒を掻い潜り、一番に早く会場を出て、新幹線のチケットだけを握り、駅のホームに向かった。駅弁を買い、8号車の窓側の席に腰を据え、大きなため息を一つついた。<br />
<br />
少しだけ、重荷が取れたような気がする。ここまで張り詰めていたから、頭の回転も良くない日が続いていたり、寝不足になってイラつくことも増えていたけど、一旦は審査が終わったから、胸騒ぎというか、冷静になれない焦燥感のようなものは無くなった。あとは、彼の言葉を飲み込むことができたのが大きかったかな。アイドルになったら、喜んでくれるだろうか。もしなれなかったら、落胆させてしまうのかな。<br />
<br />
帰りの新幹線で、外の景色を眺めながら、読書感想文の題材、宿題の終わらせる日程を速やかに立てた。心に余裕ができているのか、はたまた。心の整理がついたというには、まだ時期尚早な気もする。じゃあなんで、私は今こんなにもいい意味で力が抜けているんだろう。<br />
<br />
蝉の泣く声が聞こえる。ガンガンに照り付ける日差しが眩しい。窓から見える木漏れ日が心地良い。それは家に帰っても同じ。瞬く間に過ぎ去りゆく時間は、私の心情の移り変わりをも通り越して行くようで。<br />
<br />
「ひかる、明日から二学期やね。勉強とか、用意とかちゃんとしとる？」<br />
<br />
「うん、ばっちり」<br />
<br />
私の名前は森田ひかる、高校二年生、特技は和太鼓、物静かで人見知りと思われがちだけど、仲良くなると懐く、よく笑う、そして夢は、、<br />
<br />
アイドルになることと、彼の想いを報いることだ。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
二学期の初日、私はまた同じ時間のバスに乗り、いつもの後ろの座席に腰をかけた。同じように彼も来るんだろう。<br />
<br />
最早、懐かしく思える。この夏休みはずっと忙しくて、イマイチ休みだった感覚もない。少し俯いて考え込む。そっか、この世界はこんなに時が早く過ぎ去っていってたんだ。<br />
<br />
「お、久しぶり」<br />
<br />
ゆっくり顔を上げると、彼が前の席に座り込んで話しかけてきた。<br />
<br />
「あ、久しぶり」<br />
<br />
とは言っても、当然彼は何も変わっていないように見える。<br />
<br />
この後、実はごうと話すことはなかった。席替えで遠くになってしまったし、なんか妙な距離感が生まれている気がする。変にアイドルになる、ならないを意識してしまってるのか、気を遣ってくれてるのかその話題に触れることもなく、かといって帰り道は一緒のバスだけど、時効の挨拶とか、明日以降の予定とかで言葉を交わす程度。こうなってしまうことなんて、あの観覧車に乗った時から薄ら予感はしていた。<br />
<br />
この進む道は定めであり、宿命であるのか、若しくはそうなる運命だったのか。私は背負いに行ったようで、逃げていたんじゃないだろうか。<br />
<br />
とある日の昼休み、彼に少しかけ合ってみようと、一緒に食堂でご飯をしようと誘った。<br />
<br />
「基本は教室なのに、珍しいな。今日は何食べるん？」<br />
<br />
「んー、とりあえず菓子パンでいいかな」<br />
<br />
相手も気づいていると思う、この私は醸し出す儚い破片に。<br />
<br />
「ねぇ、あのさ。最終審査終わったんだけど」<br />
<br />
「あぁ、もう結果でたん？」<br />
<br />
「いや、まだなんだけどね。ほら、いつかの時、覚えてる？私が言葉を詰まらせたあの時」<br />
<br />
「教室で初めてオーディション受けるって伝えてくれた日のこと？なんとなく覚えとるけど」<br />
<br />
「もしもだよ。いや、今はあの時よりも確率も可能性もあるから言うんだけど。本当にもしさ、私が合格したらさ」<br />
<br />
察してよ、次の言葉ぐらい。<br />
<br />
「合格したら？」<br />
<br />
「ここから、離れることになるじゃん？」<br />
<br />
「うん」<br />
<br />
一緒に居られなくなるね。って、私が思ってるとも思わないか。<br />
<br />
「応援とか、してくれるの？」<br />
<br />
全然違う、こんな表面的で抽象的で思ってもない言葉。<br />
<br />
「そりゃ、ひかるが目指してるものなんだし、俺もアイドル好きやからめっちゃ応援するで。アイドルになってからも、大きな夢に向かって努力するものなら、その夢も俺は応援したいな」<br />
<br />
「良かった。ありがとう」<br />
<br />
その後のご飯の味なんて覚えちゃいない。あのデートに行った日から、ぼやけて見える。あんなにフォーカスの合った被写体だったのに、もう輪郭すらままならないほど、彼の気持ちもわからぬまま、自分の気持ちにも嘘をついて生きているような気がして。<br />
<br />
そこからは何も進展しないまま、帰宅すると玄関にに母親の姿があった。<br />
<br />
「ひかる、届いてたよ。合否」<br />
<br />
「え！どれ？」<br />
<br />
リビングに誘われると、テーブルの上にある資料に、わかりやすく合格の二文字が綴られていた。<br />
<br />
「おめでとう、ひかる。もう止めはしないから。やりたいようにやりなさい」<br />
<br />
やりたいことも、したいことも、自分で処理できていないから頭に来てるっていうのに。受かってしまった。私は放棄する権利だってある。だけどこれは、夢への切符を手に入れたようなもの。私の手元には、将来を変えられるものが確かにある。決めなきゃ。<br />
<br />
選ばなくちゃいけない、アイドルになるのか、彼と居たいのか。<br />
<br />
考えれば考えるほど、ドツボにハマる。ダメだ、イラついてしまう。<br />
<br />
運命の特異点を目の前にして、立ちすくんで動けない。手足縛られて、現実に放り出された感じ。<br />
<br />
何が、起きた？今の数分前に。それすらも覚えてない。<br />
<br />
衝撃的事象が目まぐるしく回る、金縛りにあったみたいで。<br />
<br />
<br />
<br />
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー<br />
<br />
<br />
枯葉が舞う、秋の訪れを感じる季節。教室で雪城と二人で補修を受けていた時のことだ。<br />
<br />
「また、森田さんのこと考えてたんでしょ」<br />
<br />
ボーッと、窓の景色を眺めている俺に向かって、雪城がそう言いかけてきた。<br />
<br />
「外見て黄昏てるだけで、なんであの子のことをって？」<br />
<br />
「最近、わかりやすいぐらい考えてるでしょ。なんかあったの？」<br />
<br />
「いや、別になんもないんやけどな。ただ今は確かにあの子のこと考えてた」<br />
<br />
「生田わっかりやすー。やっぱ好きなの？」<br />
<br />
「いや、ほんまにそれはちゃうんよな」<br />
<br />
「じゃあ別に躊躇うことないじゃん。たどたどしくなって、何が一番いい解答か考えて、なよなよしく接してるから相手にもバレちゃうんだよ。生田が思ってる最適解も、相手からしたら違うかもしれないわけじゃん。だから、相手の気持ちを汲み取ろうとして喋るよりも、もっとこう、素直に自分が思ってること言えばいいじゃん。女々しい計算高い男は嫌われるよー」<br />
<br />
雪城に諭されるのも癪だな。まぁでも、確かにこいつのいう通り、相手の顔を伺って受け答えしてる節はあったかもな。かえってそれが、この妙な距離感にさせてしまうことになる一つの要因だった気もするし。別に仲が悪いとかそういうんじゃないんだけど。<br />
<br />
「るっせーな。まぁそりゃそうだけど。じゃあ、自分でもまともに思ってることが整理できてないときはどうすればいい？」<br />
<br />
雪城は口角を上げて答える。<br />
<br />
「そんな逃げ台詞いいから、自分の気持ちに素直になる！それだけ！！」<br />
<br />
自分の気持ちに素直になる、かぁ。<br />
<br />
「あ！！今日保乃先輩と掛けあう予定なんだけど、来る？バレー部員と会う前に、ちょっと時間作ってもらうんだ」<br />
<br />
「おう。ちょっと頼むわ」<br />
<br />
「オッケー、じゃあそう伝えとくから、補習終わったら体育館前の右側通路まで来て」<br />
<br />
そうと決まれば、すぐにでも補習を終わらせて体育館近くに向かった。正直、その田村さんって人とは一回しか話したことはないけど、思ったよりも親近感があった。動機のあやふやさというか、いやそれしかないんだけど。<br />
<br />
体育館近くに向かうと、雪城と田村さんが話し込んでいるのが見える。<br />
<br />
「あ、生田！こっちこっち！」<br />
<br />
「あー！久しぶりです！生田さん！」<br />
<br />
謎に歓迎ムードで迎え入れられた俺は、ゆっくりとその輪に入り込んだ。<br />
<br />
「まぁそういうことやから、愛華は絶対レギュラー取って、三ツ坂を代表する選手になる思うから、努力を怠らず精進することやな。応援してんで！」<br />
<br />
「はい！保乃先輩！」<br />
<br />
「よし、愛華ちゃんは体育館戻って部員と練習しといて。ちょっとだけ生田さんと話してから戻るわな」<br />
<br />
「了解です！！」<br />
<br />
雪城が軽快にステップをしながら戻っていくと、その場に残ったのは田村さんと俺の二人になった。<br />
<br />
「あの、田村さん。以前、ちょっとだけ夢の話をしたの覚えてますか？」<br />
<br />
「うん。よく覚えてますよ。私がオーディションを受ける前の話ですよね。まだ夏になってなかった頃かと思います。もう、夜になると肌寒いと思う日が増え続ける時期になりましたね」<br />
<br />
「ちょっと聞きたいことがあるんですけど、いいですか？」<br />
<br />
「全然聞きますよ！」<br />
<br />
本来、こういうことで他人を利用するのは外道な気はするが、なぜかこの日は思い切って聞いてしまった。<br />
<br />
「田村さんは、叶えたい夢を必死で追いかけてるじゃないですか。周りからはなんて言うんだろ。こういうこと言われたいとか、こういうことされたいとか、そういう、友人とか家族とか、大切な人からどう思われたいかみたいなのって、あったりします？」<br />
<br />
少し険しい顔に変わる田村さん。<br />
<br />
「ちょっと、ちゃう気がします。それって、他人主導やと思いません？確かに、嘘でもかけてあげた方がいい言葉は世の中にはあると思いますけど、それって価値あるものやと思わないんです。質問に対しての解答は、人によって違うので一概に言えないですが、心の底から、私自身の夢を応援してくれる人、離れてほしくないと嘆く人、落ちてしまえと妬んでる人、どれもいいと思うんです。だから、どう思われたいかという明確な答えはありません。けど、私個人としては何を言うでもなく、その人の嬉しさ、苦しさ、悲しさ、感謝、尊敬、畏怖、共感、信頼、期待、いろんな感情のそばに居てくれる人は素敵やなって思います。それが嘘でなければ、受け止めたいなって思うんです。つまり、そうですね、、」<br />
<br />
一拍置いて、物悲しい瞳を零しながら、<br />
<br />
「同じ気持ちになって寄り添ってくれる人が、私は好きでした」<br />
<br />
「同じ、気持ちかぁ」<br />
<br />
「すいません、そんないいアドバイスできなくて。でも、結局は自分が思うままに生きるといいと思います！」<br />
<br />
急に投げ込まれた、同じ思いで寄り添える人。同じ心を持ってあげられる人。俺は彼女にとっての何者でもないことはわかってる。寧ろ、何か干渉して助けてあげようとか、支えになってあげようとかも傲慢なのかもしれない。<br />
<br />
「あ！生田さん、私からも一つだけ質問していいですか？」<br />
<br />
思い出したかのように、目を見開いてこっちを見てくる。<br />
<br />
「あ、いいですよ。こちらこそ本当にまともな返答できないと思いますけど」<br />
<br />
<br />
<br />
「何かを切り捨てることと、何かを受け入れること。どっちが簡単なんだと思いますか？」<br />
<br />
<br />
<br />
「えっ？」<br />
<br />
「あぁごめんなさい！！生田さんに聞くことやなかったです！！それじゃ、そろそろ部員も待ってると思うので、このあたりで失礼します！」<br />
<br />
「あぁいえいえ、わざわざありがとうございました！」<br />
<br />
なんだったんだろう。彼女は一見ずっとニコニコしてて、退屈でもない幸せな毎日を過ごしてそうなのに、会話の節々で翳りのようなものが見え隠れする。まぁ当たり前か、人の人生なんて山あり谷ありだ。俺が考えるようなことでもない。<br />
<br />
秋の香りが増す毎に、離れる季節の真ん中に一歩ずつ進んでいるような毎日。誰かを傷つけなければ生きられないほどに、自分を追い込まなければ死んでしまうほどに、皆は苦しみの淵に立って泣いている。<br />
<br />
俺の命と人生も、俺のものだ。誰のためでもない、俺の信念のためにある。そうだと気づけたら。<br />
<br />
<br />
<br />
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー<br />
<br />
<br />
<br />
「ひかる！何か必要なもの先に言いなさいよ。出立前の休みは今日しかないんだからね」<br />
<br />
「うん。あとあれ。かさばるけど好きな本だけ詰め込むね」<br />
<br />
11月某日、私はアイドルになることを決め、親と折り合いをつけた。学校には事情は話してあって、続けることは厳しいと判断されて、退くことになった。親にはなんとか恩返しできるよう、とにかく必死に頑張ってみる。その一点張りで通した感じ。<br />
<br />
「絶対飛行機のチケット忘れちゃいけんで！後、ほらほら充電器とか！」<br />
<br />
「いやまだ二日あるけん、そんな急かさんで」<br />
<br />
そう、明日は学校登校の最終日、次の日にはフライトと、かなりギリギリなスケジュールになってしまっていた。<br />
<br />
担任には、私が居なくなってからクラスメイトに事情を話してほしいとわがままを言った。事情の方も、もちろんアイドルになるということは隠したままで。じゃないと、クラスメイトに後々聞かれるのも厄介だし。まぁでも、それぐらいの配慮は言わなくともしてくれてただろうけど。私は皆に別れの言葉を告げるのも拒否した。無理言ってお願いをしたけど、担任の菅井先生は愛想笑いを浮かべて快く許諾してくれた。<br />
<br />
だけど、まだ彼にはアイドルになることを伝えていないままでいた。今日のこの時まで。<br />
<br />
最後の登校日の朝。眩しすぎる太陽が、カーテンの裾から漏れている。朝起きて、制服に着替えて、朝ご飯を食べて、気だるそうに登校して。見慣れたこの光景が、もう最後になる。半年前の自分に、今の状況を言ったらどう思うんだろう。<br />
<br />
いつものバス。いつもの座席。そして櫻坂前で乗車する彼。ちょっと合わない歩幅を数える私。<br />
<br />
終わっちゃう、何も言わぬまま、しゃがみこんで動かぬまま、終わってしまう。<br />
<br />
授業中も、休み時間も、お互い意識し合っていることはわかっているはずだ。視線を感じてもいるだろう。気配を感じ取ることすらも。<br />
<br />
「はい、明日からは文化祭の用意もありますので、クラスで何をするかなど考えてきてくださいね！」<br />
<br />
菅井先生がホームルームでそう言うと、帰りの挨拶をして、心の中で皆に別れを告げる。彼は掃除の当番だったけど、私は彼の帰りを待つことにした。<br />
<br />
もう会うのは最後になる。うん、わかっとう。伝えなきゃ思っていないのと同じ。<br />
<br />
校門から彼が出てくる姿が見える。偶然会ったかのように、私は彼に話しかける。<br />
<br />
「あ、ごう。ちょっと先生に呼び出しされててさ。同じタイミングになったし、一緒に帰らない？」<br />
<br />
「あぁいいよ全然」<br />
<br />
何度、隣で歩いてきただろう。何度、私を地獄の底から救い出してくれただろう。<br />
ごうが、私の目の前に現れた日から、何もかもが違く見えたんだ。朝も、光も、涙も、何もかも、あなたが輝きをくれたんだ。<br />
<br />
抑えきれない、想いをこの声に乗せて。<br />
<br />
「ねぇ、ずっと前に一緒に行った公園あったじゃん」<br />
<br />
彼が後ろで歩く私に振り返る。迷いなく、私は誘った。<br />
<br />
「今日、寄っちゃいけないかな？」<br />
<br />
何かを悟るような微笑みを返してきた彼は、<br />
<br />
「ええで、久しぶりに行こか」<br />
<br />
いつもの交差点の信号を渡るところを横断せず、道外れの住宅街の方に向かう。覚えとるよ、全部。あの日に見た景色も、これまでの思い出も。全部覚えとうよ。<br />
<br />
「うっわ、なんか変に懐いな。この前来たんって梅雨ぐらいの時期やったっけ？」<br />
<br />
「そうだね、あのブランコで連絡先交換したよね」<br />
<br />
「たったの数ヶ月前やのに、めっちゃ昔に感じるな」<br />
<br />
私たちは、吸い込まれるようにブランコに腰掛け、お互い間を取った。上手く言葉にできるかわからないけど。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「あのね、ごう」<br />
<br />
静寂を破ったのは、紛れもなく私の声で、<br />
<br />
「受かったんだ。オーディション」<br />
<br />
「え！！そうなん！？」<br />
<br />
「うん。でね」<br />
<br />
ごめんね、決めちゃったんだ。もう今更違う自分になれるわけないじゃない。<br />
<br />
「明日に、上京するんだ」<br />
<br />
俯き、ブランコの持ち手に力弱く両手を握り込んで、擦り切れるような声で伝えた。<br />
半端な夢の一欠片が、不意に誰かを傷つけてゆく。臆病な私は、目を閉じて離れた。<br />
<br />
「ええ、じゃあ学校は辞めるの？」<br />
<br />
「うん、そうなる。だから、、今日でお別れになるの。この街とも」<br />
<br />
あなたとも。<br />
<br />
「まぁ言い出すのは相当しんどいことだろうからね。寧ろなんかこう。嬉しい。俺に直接言ってくれるのは、うん。嬉しい。何よりも、本当におめでとう！」<br />
<br />
今までずっと探してた。あなたへの想い、伝えることなんて必要ないよね。片想いなら黙っていればいい。両想いなら気づかなければいい。<br />
<br />
「ごうにはずっと&hellip;こう&hellip;助けられてたよ。つまらない学校生活がそれなりに楽になったのは、ごうがいたからだから&hellip;本当に&hellip;&hellip;あの&hellip;」<br />
<br />
涙をグッと堪える。内股に力が入る。彼の角度からは見えない逆手で握り拳を作って、、<br />
<br />
「ありがとう」<br />
<br />
「こちらこそ、ありがとうな」<br />
<br />
木枯らしと枯葉の舞、かさついた両手の先の力を抜いて、彼は屈託のない笑顔を向けてくれた。私の心は見透かされているようで。<br />
<br />
「明日あれなん？何で行くん？」<br />
<br />
「あーえっと飛行機。三ツ坂から一番近い空港から出る予定。時間は、14時とかかな」<br />
<br />
「もう段取りしてるのな、そうやなぁ」<br />
<br />
彼が立ち上がって、遠くの景色を見つめる。モノトーンのような鮮やかな風景が映る街中を、見下ろしながら語りかけてくる。<br />
<br />
「ほんま、夢が叶うように願ってるから。俺の想い、全部持ってって」<br />
<br />
なんて言ったらいいかわからんやった。でも、ごうの夢や想いに報いると決心したはずだったのに、本人から直接渡されると、返す言葉が浮かばんやった。<br />
<br />
「うん、頑張るね」<br />
<br />
「ずっと応援してるからな！」<br />
<br />
悠々としているようで、どこか物悲しくて、前を向いて歩き出したはずなのに、どこか後ろ髪を引かれるようで。今日で彼とはお別れになる、その悲しさも、寂しさも、波のように押し寄せてくるかと思っていたけど、そうでもないみたい。<br />
<br />
帰りのバス、陽が落ちる頃合いだったからか、少し混んでいた。私たちはいつもの後方座席を取れず、立ったまま揺らされることになった。<br />
<br />
彼が思いついたように口を開き、<br />
<br />
「あの、覚えてる？あの手提げ忘れて帰って俺が傘貸した日」<br />
<br />
「うん、今でも鮮明に覚えてるよ。出会いみたいなもんだし」<br />
<br />
「あれさ、もしひかるが手提げ忘れてなかったら、どうなってたかな。とか考えたことない？」<br />
<br />
選択は、人生においてよくあることだけど、私はあまりくよくよせずに決めたことはキッパリするタイプ。だけど、あの日の選択は、まるで大きな分岐点だったような。不思議と胸騒ぎがしたのも、クリーンに頭に残っている。<br />
<br />
「そうだなぁ。私はそんな考えないかな。なるようにしかならないというか、過去に戻ることはできないわけだから。自分の道が正解だと思うことも大事かなって思うし」<br />
<br />
「強いな、ひかるは。そんなひかるが、ちょっと羨ましかった」<br />
<br />
次は、櫻坂前。別れが近づくにつれ、動悸が激しくなるのがわかる。<br />
<br />
「じゃ、また何かあったら連絡は取るから。アイドル頑張ってな！」<br />
<br />
彼はそう言い残して、颯爽とバスから降りて行った。私は「うん」と頷くことしかできず、私の灰色だった世界を変えてくれた、ごうに言の葉を紡ぐことすらできなかった。<br />
<br />
自分の部屋に戻ると、大きなキャリーケースとショルダーバッグがすでに用意されている。飛行機のチケットは、しっかり内ポケットに閉まって。彼への想いも、心に仕舞って。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「ひかる、本当に行くんやね。お母さん達、空港まで見送れないけど、迷いそうだったら連絡ね。お父さんは仕事でいないけど、きっとひかるが大きくなって帰ってくると願っているはずやから」<br />
<br />
「うん。返ってきたら親孝行とかできるぐらいに立派になるね」<br />
<br />
母親は、私の頬をそっと撫でてくれた。もちろん、覚悟は決まっている。<br />
<br />
私が、アイドルになるのは。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
フライト当日、13時を少し過ぎた頃、私は國陵空港の二階出発ロビーの、時計台近くのベンチで時間の経過をゆっくり待っていた。休日のお昼ということもあって、人気はそれなりにある。いや、基準がよくわからないけど。<br />
<br />
13時25分、そろそろ自分の乗車する便の入り口付近に向かおうとした時だった。<br />
<br />
『ひかる！空港のどこにおる？』<br />
<br />
ごうが唐突にLINEを送ってきた。私は即返信して、<br />
<br />
『國陵空港線の出発ロビー、二階ターミナルとか書いてるところだよ！』<br />
<br />
『おけ、ちょっと待って』<br />
<br />
耳を澄ませば聞こえてくる。色々な声や物音。人は誰もその喧騒に、大事なものを聞き逃している。ねぇ、ちょっと静かに。ほんの少しでいいから。大事なものを聞き逃さないために。<br />
<br />
人の流れが加速しているように見える。そんな中、彼が走ってこっちまでやって来た。<br />
<br />
「ごめんひかる&hellip;渡したいものがあって&hellip;これ」<br />
<br />
彼は、私と会った時に貸してくれた傘を持って手渡してきた。<br />
<br />
「これ、なんで？」<br />
<br />
「うざったいようかもしれないけど、何やかんや思い入れがあるものはそれしかなくて。御守りとか何かしら図工したかったけど時間なかったから&hellip;もし忘れそうなときに、それで思い出して忘れないで欲しいなって。でもその思い出すらも邪魔になりそうだったら、上手に忘れてほしい」<br />
<br />
<br />
<br />
「ありがとう&hellip;でもそんな&hellip;」<br />
<br />
<br />
<br />
だって、狡いよ。離れる決心をして、いい意味でドライに感じた昨日の悲しみを返して。<br />
<br />
<br />
<br />
「そんな寂しいこと言わないでよ&hellip;&hellip;」<br />
<br />
<br />
<br />
流し目で誤魔化しているけど、もう涙が溢れる寸前だった。彼は、私を見送ろうとここまで来てくれた。あんなさっぱりした別れ方したと思えば、やっぱり今日来るからあんな質素だったんだ。<br />
<br />
<br />
<br />
「忘れるわけないやん。だってごうのこと&hellip;&hellip;私は本当に&hellip;」<br />
<br />
<br />
<br />
唇を噛み締め、一輪の花を添えるように、零れてゆく一滴の雫のように、丁寧に、あなたに。<br />
<br />
<br />
<br />
「好きやったから&hellip;&hellip;」<br />
<br />
<br />
<br />
私の火照った指先に、彼の少し冷たい指先とが触れ合った。ゆっくり掌を合わせるように、震える私の手を、ぎこちない彼の手が覆い尽くす。<br />
<br />
<br />
ー初めて触れた、ごうの手。温かい。<br />
ー初めて触れた、ひかるの手。暖かい。<br />
<br />
<br />
私はそっと。ゆっくりと、彼の胸元に身体を預けた。<br />
<br />
<br />
私たちはなぜここで、見つめ合っているのかって、不思議なことだと改めて思ったかもしれない。<br />
<br />
<br />
偶然に弄ばれて。<br />
<br />
ー理屈じゃないんだ。<br />
ー衝動じゃないんだ。<br />
<br />
<br />
広い世界には、多くの人がいるのに、同じ時間を共有するなんて、それを奇跡で片付けてしまうのは、勿体ない勘違い。<br />
<br />
<br />
ー運命以上の、行き過ぎた感情。<br />
ー宿命以上の、行き過ぎた感情。<br />
<br />
<br />
言葉を交わさず、ただあなたと私の愛の脈が打ち続ける。<br />
<br />
<br />
夢とか、想いとか、もうそんなのどうでもよくなってしまうぐらい。<br />
<br />
<br />
大切なものがなぜ、大切なのか。考えたって。何になる？<br />
<br />
<br />
ー私は、ごうを理由なく好きだ。<br />
ー俺は、ひかるを理由があって好きだ。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
唯一、そこに、私たちに、真実があるとしたならば。<br />
<br />
私たちは、<br />
<br />
あやふやな関係だったということだ。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー]]>
    </description>
    <category>小説</category>
    <link>https://ikutechi46.asukablog.net/Entry/64/</link>
    <pubDate>Mon, 27 Dec 2021 19:16:51 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>小説　「森田ひかるの黙示録」　Ⅱ</title>
    <description>
    <![CDATA[次の日は、思ったよりも早く起きられた。というよりも、昨日はかなり早く眠りにつけた。家に帰ってからは、お風呂と夕食、そして予定立てる連絡だけで他は何もせずに布団にくるまっていた。ずっと画面と睨めっこしてたからか、目が疲れてたんだと思う。ちなみに、今日行くテーマパークはディズニーとかUSJほど大規模なものじゃないけど、満喫するには十分な敷地と聞いてる。乗り物というか、絶叫マシーンかぁ。まぁその手の娯楽は、待ち時間が楽しかったりするよね。何よりも、アイドルの話をとって置いたわけだし、期待値は相当高まっていた。<br />
<br />
親には、私一人で少し外に出ると漠然としたことしか伝えていない。そもそも、外に出ない子だとわかっているから、色々聞き返されたけど、とりあえずは受け流していた。カラオケに発散しに行くだとか、本屋に買いたい本を見に行くだとか。<br />
<br />
その割に、しっかりと私服は整えていた。こういう時、イマイチ服に関心がなかったのが響いてしまう。ラフすぎる格好だと、流石に無頓着と思われそうだし、でもガッチリ固められるようなのも用意できない。結局は無難に無地のシャツワンピースに、インパクトの残らない厚めのブーツ。身長が低いものだから、多少は伸ばしていきたいかな、なんて。<br />
<br />
不安要素があるとするなら、夜から雨が降ることぐらい。予報では21時以降だし、そんなに問題ではないだろうけど。<br />
<br />
予定通り、私は朝の10時に私の最寄り駅から4つ下った、場久須駅というところの改札だった。改札から、西口に出てすぐ見える位置にあるらしい。私は、早めの電車に乗り継いで、15分前にはしっかり到着していた。<br />
<br />
「あ、森田さん！」<br />
<br />
改札を抜けると、既に到着していた様子の生田さんがいた。私服はかなりシンプルで、そこまで昨日遊んでいた時の雰囲気とは変わらない。<br />
<br />
「あ、早いね。待たせちゃった？」<br />
<br />
「いや、俺もさっきついたところ。んじゃあ向かいますか」<br />
<br />
歩幅が一緒。隣。学校に行く時は、いつも彼の方が少し早くて、右前を歩いていたっけ。それなのに、今日は。<br />
<br />
ずっと隣にいるんだ。<br />
<br />
「森田さんって絶叫系いけるっけ？」<br />
<br />
「うん大丈夫。じゃないと、テーマパークとか行く前に言ってるし」<br />
<br />
「あ、そうね。まぁある程度乗り物グライドしてたら、時間も使えるやろうし、今日はせっかくだし楽しむ精神でいこか」<br />
<br />
「うん！」<br />
<br />
実際、園内に入ってからは緊張は全くしなかった。周りにいる人の話や容姿が見たり聞いたりする程には、自分の心に余裕ができていた。彼との隣に開いている間隔、これは初めてのデートの距離感とはまた違った、絶妙な間合いだった。<br />
<br />
「まずはジェットコースターからがええな！」<br />
<br />
「いきなり飛ばすね」<br />
<br />
「45分待ちやって、おし並ぼか」<br />
<br />
下から見上げると、人が喜んだ声でジェットコースターに揺らされ、悲鳴をあげているのがよく耳に入る。少しずつ、列が進み出す中で、昨日言い合えなかった話題を引っ張ることにした。<br />
<br />
「あ、そういえばさ。昨日、欅坂好きって言ってたじゃん？生田くんは、いつから好きなの？」<br />
<br />
「んー。16年の夏とかだったかな。あの頃からずっとセンターの子推しててね。森田さんは？」<br />
<br />
「今泉さんとか尊敬してるかなぁ。てか結構古参なんだね」<br />
<br />
「つってもやけどな。まぁでも、日々このグループに救われてるから、本当に好きで良かったっていつも思ってる」<br />
<br />
「そっか」<br />
<br />
そっか。って呟いた言葉に意図はない。そのあとは好きな楽曲、好きな歌詞、好きな番組のシーン、共通するアイドルのことを楽しく語り合った。ジェットコースターはというと、純粋に叫んでゲラって、乗り終わって顔合わせながらツボに入ったりでよくある光景だと思う。<br />
<br />
「コーヒーカップで酔うって、生田くん酔いやす過ぎない？」<br />
<br />
「森田さん、メリーゴーランド乗ってる時カメラ向けた時、澄まし顔ヤバかったで。斜に構え過ぎちゃう？」<br />
<br />
そう、それは彼と私だけの時間。その後は、もう少しだけ乗り物乗ったり、昼を高い軽食で済ましたり、前に並んでる人が躓くの見て悪い笑いがお互い出たり、あぁそうそう。生田さんと私はお互いツボが浅くて、それも人の揚げ足取りとか、横槍とかで笑うような最悪のツボを持ってる。今言うようなことじゃないけど。<br />
<br />
「結構乗り継いで疲れたし、観覧車とか乗る？」<br />
<br />
「あ、いいね。そうしよ」<br />
<br />
日も少しずつ暮れ、夕焼け時に差し掛かっていた。少し疲れた身体を癒すにはちょうど良いオファーだった。でも、観覧車ばかりは、少し緊張してしまう。<br />
<br />
観覧車の待ち時間は、他の乗り物を待つ時間より、やはり口数は少なくなっていた。生田さんも少し緊張しているのかな。いや、単純に喋り過ぎて、話すことも少なくなったからかな。若しくは、疲労が溜まっているのも関係しているのかも。そんなことを考えていたら、もう出番は回ってきた。他の人気アトラクションよりも、待ち時間は短い。回転率と、人気を加味した上で、変な緊迫した空気感もあってか、順番待ちの時間はほぼ0に等しかった。<br />
<br />
誘われるように、吸い込まれるように、私たちは観覧車に乗り込んだ。ドアが閉まると、二人だけの空間に一瞬で移り変わる。それは、私の学校という地獄から、抜け出させてくれたあの感覚と少し似ていて、それが形としてしっかり肌で感じられるものだから、余計に変な意識をしてしまう。<br />
<br />
私を変えてくれたのは、生田さん。そして、こんな時間に変えてくれたのも。<br />
<br />
「森田さん、夢とかってあるの？」<br />
<br />
私は瞳孔を開いた。急だったから。少し視線を逸らしながら、、<br />
<br />
「え、急にびっくりしちゃった。えーと。そうだね。夢とか、そんな明確なものじゃないけど、漠然とした大きな憧れはあるよ。それは、私の趣味でもあるアイドルになりたいこと。うん、夢とか言い切ることはできないけど」<br />
<br />
「凄いなぁ。森田さんはちゃんと自己分析できてそうだし、人様に見られるような仕事でもやってけそうなイメージあるわ」<br />
<br />
「生田くんはないの？」<br />
<br />
「俺はないかな。夢がある人を見て羨ましがって、結局何もしないような人やし。自分が置かれた環境のせいにして、大体のことを見過ごしていくからな」<br />
<br />
<br />
<br />
少しだけ変な間が開き、彼が再度語りかける。<br />
<br />
<br />
<br />
「あぁごめん。俺から振っといて、別にオチとかないから。今日はこれ乗ったら帰ろっか」<br />
<br />
「ううん、大丈夫。そうだね、私も今日は凄く楽しかったし満足してる」<br />
<br />
「これで、森田さんが楽しくなかったって思ってたら残念だったから、森田さんの口から楽しかったって聞けて安心した。来てて良かったわ」<br />
<br />
「ほぼ任せっきりで来たんだし、全力で遊ぼうとしてたし、久しぶりに外で友達と...」<br />
<br />
なぜかその後の言葉が続かなかった。どうしてだろう、目と目が合ってしまって、喉の奥が塞がってしまった。どうしよう、なんて言おうとしたっけ。<br />
<br />
「久しぶりに出たから？何？」<br />
<br />
「あ、いやそのあれ。あんま人と遊ぶ機会が少なかったから、貴重で大事にしないとなって」<br />
<br />
観覧車が一番高いところに到達しようとしている。それと同時に、なぜか私の緊張感も最大限上がりきっていた。<br />
<br />
「あ！せっかくやしさ！」<br />
<br />
彼が何か閃いたような顔で私を見つめて来ると、<br />
<br />
「呼び方とか変える？」<br />
<br />
「あー、そうだね。そういえば苗字呼びだったもんね」<br />
<br />
どうしよう、もう脊髄で会話している。それは、受け流すような反射的なものじゃなくて、脳の処理能力が停止しているような。<br />
<br />
「俺はじゃあ、ごうとかで大丈夫。そっちは？」<br />
<br />
「私は、下の名前で呼ばれることが多いかな」<br />
<br />
「んじゃ、ひかる？で」<br />
<br />
彼は少し照れ笑いをしながら、私の名前を小声で呟いた。そうか、私も。<br />
<br />
「じゃあ、ごう...で」<br />
<br />
「うん」<br />
<br />
ごめん、私のせいで気まずくなっちゃった。こういうの苦手なんですよ。所謂青春というものを全く知らなくて、世間様を冷めた目で見て、今をときめく物を蔑むような心を持ったり、どうも斜めに構えがちな私は、こんなベタな会話したくない、するはずもないと思ってたからムードとか作れない。そんな嫌な感触の反面、嬉しさが交わったまま、観覧車を降りた。<br />
<br />
一緒に歩く歩幅は同じ、間に生まれている距離感も同じ、なのに行きの時とは全く別物の何かが生じている。嫌だ、あんなに緊張も何もなかったのに。夢の話をしてから、どこか胸騒ぎがする。これは、あの教室にいた時にも似たような何かだった。<br />
<br />
私たちは、少しだけつまらないお土産を買った後に、帰路を歩いていた。朝来た時と見え方が違う。そんな薄ぼんやりとした情景が目に入ってきたと思えば、視界をぼやけさせるように、空から雨粒が降り注いで来た。<br />
<br />
「あれ、予報では21時以降とか書いててんけどな。今まだ20時よな」<br />
<br />
「あ、私折りたたみ傘あるよ」<br />
<br />
私はバックに詰め込んでいた折り畳み傘を取り出した。<br />
<br />
「最寄りまで3分程度やし、俺は大丈夫」<br />
<br />
「いや、いいよ。というか、あの時貸してくれたから。せっかくだしその分返したいから。使って」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「じゃあ二人で入るかもう、面倒やし」<br />
<br />
「え？」<br />
<br />
ごうは、私の降りたたみ傘をおもむろに広げ、傘半分、いや少し余分な間を開けて入るように促してきた。しかも、私が買ったものだから、少しサイズ感が小さい。いえば折り畳みなんだから、特に狭いのに。<br />
<br />
私は、彼の横に静かに入り込んだ。<br />
<br />
ダメだ。胸の鼓動こんなに昂まるものなん。きっと彼にも聞こえてしまっとる、このザワつき。ソワソワしてしまっている、落ち着かなさを取り繕うとするよりも、、、<br />
<br />
歩く度に揺れて肩が少しぶつかる。私服の匂いとか、体温とかも少しわかってしまうほど。雨音が強まってほしいと思うのは、私の胸の鼓動を打ち消してと願うから。<br />
<br />
こんなにも長い3分なんてない。早く最寄り駅についてほしい。いつものノリで冗談を言えばいいんだ。そう思い、彼の方を向くと、同じタイミングで振り向いた。<br />
<br />
行きはもっと賑やかだった。明るく、鮮明にまわりが見えるほどに。でも今は人気がまるでない。雨音は徐々に強まり、傘じゃ覆えないほどの雨が打ち立てる。足元が少し冷たい、だけど私の心情の熱は、一向に冷めない。<br />
<br />
お互い足を止めた。もう今更、手遅れかも。そんな関係を持つなんて。<br />
<br />
鈴の音が響くような、蒼い月あかりが雲の隙間から差し込んでいる。中路を渡る風が、頬の火照りを醒ますまではこのままで。<br />
<br />
安らぎの、よすがに身を預けて震えている。<br />
<br />
この状況、冗談を言いたいけれど。ロマンティック過ぎて何も浮かばない。<br />
<br />
「ひかる？どした？」<br />
<br />
「ううん、何も。雨が強くなってきたね。早く帰ろっか」<br />
<br />
<br />
<br />
目の前を遮るスコールを断ち、曇らせる視界に乗じて、私は言葉を濁した。<br />
<br />
「今日はありがとう。あ、昨日も」<br />
<br />
彼はそう言うと、渡した折り畳み傘を返してきた。<br />
<br />
「こちらこそありがと」<br />
<br />
「うん。あ、そういえば夢の話やけど、坂道合同オーディションとかやるみたいやで」<br />
<br />
「そう、だったっけ。また確認しとく」<br />
<br />
この後は、とてもじゃないけど疲れが酷く、電車も人が多くて喋ることなく、お互い眠っていた。電車の取っ手にもたれながら眠ってはいたけれど、ふと目を覚めた。振り向き、外を眺めるとまだ雨は降りしきり、窓ガラスを打ち立てていた。月は姿を隠している。<br />
<br />
「合同オーディション、か」<br />
<br />
私はため息のように、独り言を吐き、家の最寄り駅で降りた。あ、彼と別れの挨拶はしたよ。結構あっさりとね。<br />
<br />
楽しかった。だけの感情を持ち帰ってくる予定だったのに。どこか寂しく、重たいものが胸の片隅に残っている。帰り道、私は折り畳みを広げ、隣に彼が居た時と同じように、傘の向け方と、歩幅を取って歩いていた。水溜まりに反射する私。淡く脆く、漠然とシルエットのように映し出されているその姿は、まるで私の心の歪みを描いているようだった。<br />
<br />
いつだって、反射している。反発し合っている。スクリーンのように輪郭が浮かび上がる自分のことが。<br />
<br />
私は、大嫌いだ。<br />
<br />
<br />
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー<br />
<br />
<br />
「保乃さん、坂道合同オーディション申し込んだんですよね！！！」<br />
<br />
「CMも見ましたよ！大々的に放送してますよね！」<br />
<br />
6月中旬、俺がいつもの帰り道とは逆の通路を歩いていた時のことだった。そこには、雪城が尊敬していると言われる、田村保乃が多くの三ツ坂バレー部員に囲われ、何やらお立てられている。<br />
<br />
「受かるかどうかは自分次第やし、運も必要やと思うから、本気で頑張るわな！」<br />
<br />
何かしら捲し立てているが、夢を追う人は本当に綺麗だな。ひかるにしろ、雪城にしろ、田村さんって人にしろ。<br />
<br />
「あ、愛華ちゃんのお友達さん？」<br />
<br />
田村さんがこっちに駆け寄るや否や、俺に向かってそう尋ねてきた。<br />
<br />
「あ、はいそうです」<br />
<br />
「前な、愛華ちゃんが生田って友達と話して相談とかしてあげてほしいって言われたんです。やけど私は別に人生相談とか向いてへんし、寧ろ相談したい側の人間ですから」<br />
<br />
「いや別に大丈夫です、全然相談とかあんま知らない人にしてもしゃーないですし。てか、相談したい側ってそうなんですね。なんか、順風満帆そうに見えるというか、夢もしっかり持ってて関心してばっかで」<br />
<br />
「いや、そうでもないですよ。坂道合同オーディションも、実は4月の全国7会場で行われたセミナーで、メンバーの方と会えるっていうので参加したのも理由の一つでした。少し、不純な動機だと、振り返ってみると思いますね」<br />
<br />
意外だった。もっと明確で、はっきりとした未来像を描いているもんだと思ってたから、つい反芻してしまう。<br />
<br />
「春の時点では、遊び半分ってところも否めなかったんですよ。やけど、自分のやりたいこととか、目指すものを考えているうちに、本気で向き合うことなのかなって、この二ヶ月間で、変わっていきました」<br />
<br />
田村さんは、肩に下げるバックから、一枚の手紙を取り出し、<br />
<br />
「決心のきっかけなんて、いつどこで変わるかわからない。そして、知らぬ間に自分の中で答えが出ている場合もある。そんなことを、最近よく思うんです」<br />
<br />
決心の、きっかけか。<br />
<br />
「あ、ごめんなさい。一人でずっと喋ってしまって。生田さんとはお初だというのに、勝手にすいません」<br />
<br />
「いや、大丈夫です。頑張ってください、アイドルになる夢」<br />
<br />
「はい！愛華ちゃんにも、よろしくと伝えてくださるとうれしいです」<br />
<br />
俺が頷くと、彼女は何かを思い出したかのようにこの場を立ち去った。ほんの少し言葉を交わしただけだったが、思ったよりもアドバイスというか、最近自分が探そうとしてた答えのヒントをくれたような気はする。俺には明確な夢はない、だから他の人の夢を応援し、それを自分の夢のように抱こうとする。その対象は、いつもアイドルだったけど。<br />
<br />
「森田さん、オーディションどうすんだろ」<br />
<br />
自分にすら聞こえないほどの小声で呟いた、気がする。なんか最近はいろんな気がしてばっかだな。自分を見失うのもそう遠くない気が、、ほらまたしてやがる。<br />
<br />
6月某日、あの遊んだ日以来、ひかるとは妙な距離感ができたわけでも、いつも以上に仲良くなったわけでもなく、学校内では変わらず勉学に励む片隅で話したり、帰り道で愚痴を吐いたり、大きく変化があるわけでもなかった。<br />
<br />
6限目が終わり、帰りの支度をしていた時、後ろから歩いてひかるが通り過ぎるや否や、ボソッと俺に向かってつぶやく。<br />
<br />
「あのさ、前に言ってた合同オーディションあるって話あったじゃん。興味半分で応募してみた。書類選考だし、かなり盛り上がってるって聞くし、自分もぼんやりしながらも夢であることだったから、一応。一応ね」<br />
<br />
「お、めっちゃええやん。でも受かったら学校とかどうすんの？関東住みになるやろうし」<br />
<br />
「正直、そこまで考えてない。ダメ元だし、とりあえずやってみようぐらいの気持ちで応募してみただけだから」<br />
<br />
「ほえー。でもやるからには頑張ってな。通ったら教えてな」<br />
<br />
しかし、みんなして俺の周りは夢に向かって何かしらの行動を起こしてるな。アイドル追ってるのを理由に夢なんてもんは持ってないけど、ひかるが受かったら、、<br />
<br />
「ねぇ、もし、、いや本当にもしものことで、私が受かってしまったらさ」<br />
<br />
「はーーーーい、みなさん帰りの準備はできましたかー？？」<br />
<br />
ひかるの台詞は担任に遮られ、結局その後も聞けず終いだった。私が受かったら...なんだって言うんだ。俺はアイドルになろうと決めたひかるの決断を尊重して、送り出したいとは思っているけど。<br />
<br />
やっぱり、リアルの夢ってやつを考えるのは苦手だ。自分はいつでもそうやって生きてきたわけだし。やる気が出なければやらない、好きなことだけやる。という言葉をいいように捉えてわがままにアイドルに夢を預けるからだ。<br />
<br />
7月に入っても、その言葉の続きを俺はまだ知らない。きっと、これからも知ることはないだろうとわかりながらも、そのつっかえは少々厄介なもので、脳裏に焼き付いては離れない面倒なもので。こんな小さいこと気にしてちゃ、これからの大きな悩み事とか考える脳のリソースが足りなくなっちまうよ。<br />
<br />
<br />
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー<br />
<br />
<br />
「それでは、夏休みの期間も羽目は外しすぎないように！」<br />
<br />
担任が願ってもないようなことを言っているけど、私たちは明日から夏休み。特段やることもないし、家でひっそりと宿題を終わらせながらのんびりするはずだった。<br />
<br />
「読書感想文、どうしようかなぁ」<br />
<br />
ついため息のように呟いたけど、いつも夏休みの読書感想文はワクワクする。課題がある文庫から決めるだけでなく、自分で自由に決められるタイトルもあるから、毎年どれにしてどんな作品にしようかと考える。<br />
<br />
あの二日以来、私と彼の仲は、実はあんまり変わっていない。それは彼も同じことを思っていそうだけど。学校の中ではいつも通り喋っていたし、夏休み前の今日ですらも、窓際から見る外の景色は同じ。変わらない日常は、惰性的でつまらないものに思うけど、じゃあ違う景色を見たいとか、異なった感情を見つけたいとか、刺激がある方がいいとか、そんなことも思わない。<br />
<br />
「夏休みはなんか予定というか、これしたいあれがしたいとかってあるん？」<br />
<br />
ホームルームの後、帰りの支度をしながら、彼が軽い気持ちで聞いてきた。<br />
<br />
「うーん、今のところは何もないかなー」<br />
<br />
「そう、俺もこれといって決めてないけど、まぁなんでも休みっていいよなぁ」<br />
<br />
「だらけちゃうけどね。でも、オーディションが通ったら、それでやること増えるかもしれないけども」<br />
<br />
坂道合同オーディション、私は「アイドルになるのが夢」とは言い張ってるけど、本心はどうだろう。<br />
<br />
特段、言うこともなかったから、二人でいつもの通学路を歩いていた。<br />
<br />
あれ、今日帰ったら夏休みなんだ。そんなことを想うと、つい次の言葉が続いてしまった。<br />
<br />
「あ、夏休みになるとちょっとの間、あれだね」<br />
<br />
なのに、この後の言葉はどうせついてこない。<br />
<br />
「あれって？」<br />
<br />
「なんだっけ、忘れちゃったしもういいや」<br />
<br />
ちょっとの間、会えなくなるよね。の一言すら言えんやった。相手だって気づいてるかもしれないのに、お互いよそよそしくて、弱気だから伝えることができない。<br />
<br />
この毎日に慣れてしまったせいで、なんか妙に寂しい気持ちになる。イマイチ、彼に対して抱いている感情がどういうものなのか、自分でもわかっていない。でも寂しさをそっと埋めてくれたのは、迷いのない彼の瞳だった。<br />
<br />
「じゃ、また来学期で！」<br />
<br />
「あぁ、うん。またね」<br />
<br />
じゃあねって、あなたから言われたら黙って頷くだけ。来学期って、一ヶ月以上も会えないのに、意外とさっぱりしてる。いやでも、所詮は席が隣のクラスメイト。だけど、私にとっては大切な友人だと思ってる。彼がどうとかは知らないけど。<br />
<br />
実際、夏休みはくだらない日々の連続だった。貸された宿題を捌いたり、家事を手伝ったり、明け方までスマホで動画を見て朝まで起きたり、一言でいえば惰性的な日々だった。<br />
<br />
7月某日、私は読書感想文を何にしようか、近くの図書館で吟味していた。図書館の雰囲気が私は好きで、喧騒が一切なくて、物静かさの中で各々が読書を愉しんでいる。今回は、どうも決まりが悪く、煮詰まってきたタイミングで、一通のメールが届いた。<br />
<br />
それは、驚くべき内容だった。<br />
<br />
「え、書類審査通過？」<br />
<br />
独り言が出てしまうほどのものだった。次の二次審査が追加で増えたらしく、一番近い会場では、大阪で行われるという。いや、私が通った？そんな、待って。<br />
<br />
読書感想文どころじゃなかった、次の審査までそんなに期間がない。最終までいったら...関東まで行かなくちゃいけない。親にも、彼にも、言わないといけない。待って、どうしよう。<br />
<br />
「ひかる、おかえり。お気に入りの本、見つかった？あれ、何も持って帰ってきてないようだけど」<br />
<br />
「うん、今日は全然見つからなかった」<br />
<br />
「珍しいね、ひかるはいつもスパッと決めてくるタイプやけん、買って帰ってくるって思ってた」<br />
<br />
「また次に見つけるよ」<br />
<br />
一点だけを見つめてしまう、食事が喉を通らない。自分の部屋に戻ると、ベッドの上で天井を見合えげては、オーディションのことしか頭を巡らない。日を跨いでからも、審査通過メールを見返しては、夢じゃないかと思って目を瞑る。それでも、頭が冴えたままで眠れない。やがて空は明るみ出し、鳥は鳴いて、人は誰も目を覚ます。どんな甘い夢も消えて、現実の歯車が動く。朝日が眩しく思える。<br />
<br />
あの審査通知が来た日から、私は毎日、外を出歩くことにした。目的はなくても、歩を進めることにした。理由は、自分の答えを見つけるためだった。ヒントは多く、転がっているかもしれない。本当にアイドルになる夢を、純真のまま追えているのか、彼への想いはどういうものなのか、私は今何をしたいのか。ここで不平不満を言って、立ち止まってても仕方ない。歩めば、走れば、前を向けば、怯まず、疑わず、どこまでも駆け上がれば。<br />
<br />
二次審査は大阪会場で、カメラに向かって自己PR、ダンスといった項目だった。毎日外を出歩いていたものだったから、親には疑われず二次審査に挑むことができた。ただ、これを通過してしまうと、流石に隠すこともできなくなってしまう。私は、適当に準備した自己PRをまとめ、とりあえずは当たり障りなくこなすことができた。周りの子を見ていると、確かに雰囲気が違う。アイドルになることしか考えていなさそうな子もいれば、特定のグループに入りたいと欲を見せる子もいた。<br />
<br />
まとまった結果は出したつもりだけど、今回で終わりかな。まぁそれならそれだし、別にいいと思ってる。せっかくの夏休みなのに、慌ただしい。宿題も全く手につかないし、何かやろうと別のことをしようにも、オーディションのことが頭を過る。いや、きっとそれだけじゃない。この数日間、外を歩いていてわかったことが二つある。<br />
<br />
一つは、外を出歩くのも悪くなってこと。空気の入れ替えにはちょうど良いし、時間をうまく使えた気がいて謎の優越感がある。後一つは、オーディションのことだけでこんな考え込んでいるんじゃない、ごうがいるから、このアイドルという夢との葛藤がより深刻になっているのだと。頭ではわかっていたけど、こうして出歩いて、整理させられたのは、それだけでも価値ある歩だったと、自分でそう言い聞かせている。<br />
<br />
とある夏休みの日、この日だけは外に出ることなく、家でだらけていた。何を思ったか夕方にベッドに入り、久しぶりに彼とのLINEを開いた。もっと早めに言えば良かったのに。まぁまだ取り返しはつく段階。<br />
<br />
『久しぶりー。実は、坂道オーディションの書類審査通っちゃって、この前二次審査終えたところ。結構微妙な感じだったから、厳しいかもだけど笑』<br />
<br />
こんなところかな。寝返りを打っていると、数分後には連絡が返ったきて、<br />
<br />
『おーすごいじゃん。倍率も高いって聞くし、せっかくのチャンスやし受かるとええな』<br />
<br />
私は、いつも彼と夢の話をする時、なんて返事を求めているのか自分でもわからないことが多い。観覧車で黙った時も、教室でオーディションを受けると告げた日も、今のこのLINEも。どういう言葉をかけて欲しいんだろう、なんて言って欲しいんだろう。<br />
<br />
『うん、とりあえずは、、』<br />
<br />
文章を打ち込んでいる途中に、LINEではない通知オンが鳴った。どうやらメールのようで。気軽に開いて飛び込んできた文字列は、<br />
<br />
<br />
<br />
坂道合同オーディションの二次審査の通過連絡だった。<br />
<br />
<br />
私は寝転んでる身体を起こし、何かの間違いじゃないかと目を擦った。ほっぺもつねった。でも現実だった、夢じゃない。メール本文には、最終審査の日程、場所などが記載されている。<br />
<br />
『まぁ、また続報あったら連絡してー』<br />
<br />
彼からそう連絡が届いていたが、どう返せばいいだろう。誰かに共有しないと落ち着かない。私は基本的に抱え込んで、なんとか処理していくタイプの人間だけど、今回はそうもいかない。そう思った時には、、<br />
<br />
『あのさ、今日お話とかできない？』<br />
<br />
彼はあっさり承諾してくれた。夜に直接話で伝えることにした。最終審査ともなると、流石に親にも言わないといけない。バイトしてないからお金もないし、何より一人で関東まで足を伸ばしたこともないから、不安も募る。何を持っていけばいいとか、何を準備していけばいいとか、何を審査でPRするかとか、周りにどんな子がいるんだろうとか、もうそういう次元の話じゃなくて。純粋に怖い、これから先がどうなるかわからないから、怖かった。<br />
<br />
その夜、ソワソワしたまま夕食をさらい、自室に戻った。急に通話したいなんて言い出しちゃったけど、相手にも何か察しつかれてそうだな。それならそれでいい、どうかこのつっかえたものを今日は取っ払っておかないと、眠ろうにも眠れない。<br />
<br />
私は彼に話せるか確認した後、通話ボタンをタップした。<br />
<br />
実際に話すより、通話って緊張する。相手先の顔は見えないし、何を思っているかも判断しづらい。だけど今は、それどころじゃなくて、<br />
<br />
「あ、ひかる？どもー」<br />
<br />
「あー、うん。ごめん付き合わせちゃって」<br />
<br />
ちょっとだけ私は、雪解けするよう、事前にゲームのはなしを一つや二つ考えて望んでいた。導入はなんとなく綺麗に進められたし、話もそれなりに弾んだ。あとは、最終審査のことを伝えるだけ...<br />
<br />
「あのさ、話変わるんだけどさ。実はね、今日の夕方LINEでこの前二次通ったって言ってたじゃん、その後にメールでね、あのーあれ」<br />
<br />
「ん？」<br />
<br />
<br />
<br />
「二次審査、通ったんだってさ」<br />
<br />
<br />
「えぇすごい！！！おめでとう！！っていうのはまだ早い？いやいや凄いじゃん！本当にアイドルになれるんじゃない？」<br />
<br />
私と同じぐらい、いやそれ以上に、私よりも喜んでくれた。だけど、どうも消化し切らないこの感情の数々。心の機微、薄々気づいている。だって私は、、<br />
<br />
「ここまで来たからには、本当にひかるがアイドルになること全力で応援するから。最終審査も張り切ってな！」<br />
<br />
「うん、そうだね。なんとかやってみる」<br />
<br />
私は完璧主義、無駄を淘汰して、できるものは修正して、いつでも綺麗にしてしまいたいタイプ。何か腑に落ちないことがあっても「まぁ、いいか」という魔法の言葉で忘れてしまうことだって選択肢の一つとしてある。なのに、最近は大体のことをほったらかして、二つの感情に揺らされている日々。私らしくない、そう感じる毎日が嫌だった。<br />
<br />
アイドルになりたいのか、<br />
<br />
彼と一緒に居たいのか、<br />
<br />
この決断が、できていないから、こうして今日も心を騙して布団に潜る。まだ心に多少の猶予があるのは、最終審査が通っていないからだけど、もしも本当に通ってしまったら。<br />
<br />
最終審査は8月19日。その日までの私の行いはというと、多くの緊張感を抱えたまま、耐え難い変わらぬ毎日に苦しんでいた。親にアイドルのオーディションのことを言うと、こっぴどく怒られた。でも、私だって関西に両親の用事で連れてこられたんだと反発してしまい、少し家族の間は冷え込む食卓が続いた。そりゃ受かったら上京するのが普通だし、一人暮らしともなると心配になる気持ちも理解できる。夏休み期間とはいえ、宿題なんて一切触れることができなかった。状況は変わったのに、生活に変化はない。惰性的なこの世界が一変、ついていけないほどのスピードに感じる。<br />
<br />
家族が考え直してと言ってきたのも、彼が私の夢を応援してくれたのも、言葉の多くが邪魔をしてしまう。まるで呪いのように、私を縛り付ける。こうしている間にも、私以外の応募者は夢に向かって、ひたむきに進んでいるに違いない。億劫に感じる、仲間とか、家族とか、優しさとか、厳しさとか、うざったい。余計なものが、ここには多すぎる。<br />
<br />
結局私は、親を押し切って最終審査を受けることになった。<br />
<br />
「ここまで来たからには、ひかるがアイドルになることを全力で応援するから」<br />
<br />
彼の想いに報いることができるのならば私は、、<br />
<br />
&ldquo;必ず受かって、帰ってくる&ldquo;<br />
<br />
そう心に決めて、未開の地へ足を踏み入れた。<br />
<br />
<br />
]]>
    </description>
    <category>小説</category>
    <link>https://ikutechi46.asukablog.net/Entry/63/</link>
    <pubDate>Sun, 21 Nov 2021 20:32:05 GMT</pubDate>
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    <item>
    <title>闇堕ち田ひかる　「英雄から星の支配者に」</title>
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    <![CDATA[本文を読むには<a href="https://ikutechi46.asukablog.net/Entry/62/">こちら</a>からパスワードを入力してください。]]>
    </description>
    <category>小説</category>
    <link>https://ikutechi46.asukablog.net/Entry/62/</link>
    <pubDate>Mon, 31 May 2021 12:40:05 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>小説　「森田ひかるの黙示録」　Ⅰ</title>
    <description>
    <![CDATA[<p>「ひかる！今日は始業式でしょ、ぼけっとしてないで。大事なクラス分けなんじゃないの？」<br />
<br />
「ううん、そんなに興味ない」<br />
<br />
半分寝ぼけながら、母親にそっけない返答をしてしまった。私の名前は森田ひかる。多分、私のことを次のクラスで知ってる人はほとんどいない。<br />
<br />
なぜかって言うと、去年の秋頃に親の事情で急遽、福岡から大阪に引っ越さなくてはならなくなって、それに伴い転校を余儀なくされたから。一年のクラスはたった半年足らずで終わったし、転校生っていうパッケージだけで多少訪れた当初は周りも気を使ってくれてたけど、今となっては一人時間の方が多くなった。家族の変化も、新天地の学校も、そこまで居心地がいいものと違う。そりゃ、こんな気の抜けた返事にもなってしまうよ。<br />
<br />
「そんなこと言わんで、しっかり楽しまないかんよ！」<br />
<br />
母親はそう言いながら、玄関で立ち尽くす悲壮感漂う私の背中をポンと押し出した。<br />
<br />
「いってらっしゃい！」<br />
<br />
「はーい」<br />
<br />
春休みを終えて、最早少し懐かしく感じる通学路を歩き始める。無駄に長いバス停までの砂利道、バスの中では、数えるのが面倒なぐらいの駅を通過してる。終電に着くと、ずらずらと同じ学校の生徒たちが希望に満ち溢れた顔で、坂道を上っている。この滑らかな上り坂を歩くと、いよいよ三ツ坂の校門。この門をくぐるのは、半年経った今でも慣れない。<br />
<br />
桜が祝福するように咲き誇っている。あ、クラス替えの用紙が張り出されてる。確認しないと、、、<br />
<br />
<br />
「お！！クラス一緒じゃん！！」<br />
<br />
「うっわ！担任絶対あいつじゃん最悪ー」<br />
<br />
私の名前はどこだろう？<br />
<br />
「どけって、え！お前また好きな子と一緒じゃん！」<br />
<br />
「あの人と分かれたよかった〜」<br />
<br />
2年6組、だから何だって話。私のことを知っている人はほぼいないって言ってたけど、私が知ってる生徒もほとんどいない。担任の菅井先生って誰だっけ、適当に優しくて、面倒を見るのが苦手そうな人だった気がする。というか、私がこの学校で知っていることって一体何なんだろう？<br />
<br />
<br />
クラス毎に指定された教室に入り、名前順で並ぶもんだから、私はいつも右列の後ろ。相も変わらず、作り笑いの教師が見せかけの愛を謳っている。<br />
<br />
「クラスの親睦を深めるために、明日のホームルームで席替えを行います！」<br />
<br />
そう張り切って言い放った言葉以外は、全然覚えていない。後は適当に始業式が終わって、適当に春休みの宿題のことを補足されて、適当に帰宅した。<br />
<br />
こんな私でも、実は漠然とした夢がある。それはアイドルになること。内弁慶でシャイな自分は向いていないだろうけど、あの職業に強く憧れの感情を抱いている。いや、こんな社交性のない私だから、余計にキラキラしたアイドルに惹かれるのかもしれない。でも正直、本気でなる気はそこまでない。応援する側の人でいられたらそれでいいかなって。<br />
<br />
最近は夜も眠れなかった。福岡にいた頃はそうでもなかったんだけど、大阪に来てからは朝方まで起きてしまって、授業中にウトウトすることも増えた気がするし、ご飯を食べる量も減った気がする。徐々に方言が抜け始めていることもわかっている。神経をすり減らす毎日。中だるみの高校二年生とは言われようけど、その通りに事が運ぶんだろう。いつも運命に身を任せて生きてきたから、もう別にそれでいいと割り切っているけど。<br />
<br />
どうせ、運命に逆らうことなんて出来やしないんやし。<br />
<br />
目が覚めると、外では鳥が囀り、私の部屋では沢山のぬいぐるみが横たわっている。春休みの宿題をカバンに詰めた私は、制服に着替えて嫌がる本能を押し殺し、動きたくないと悲鳴を上げる身体を無理やり起こし、学校に向かった。<br />
<br />
「席替えはくじ引きで行います！私が持ってきたこの箱の中から一人ずつ...」<br />
<br />
何だか胸騒ぎがしよる。不思議とここにいる自分に違和感を覚えとった。<br />
<br />
福岡から来て慣れていないから？いや違う。<br />
新たなクラスで環境が変わったから？いや違う。<br />
<br />
担任だけが喋るこの教室の静けさが、まるで人混みの中で一人佇む喧騒の中にいるようで。<br />
<br />
「それではクジを引いていってください！」<br />
<br />
<br />
<br />
今、思い返すと、なんて事ない一日やったんやと思う。<br />
<br />
それでも、その日が私のこれからを、、、<br />
<br />
決定的に変えたんだ。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「はーい、みんな席ついてー！」<br />
<br />
私は窓際から数えて、縦二列目の一番後ろ。もう一つ左だったら、端やったのになぁ。ぐらいの感想しか出てこない。仲が良さそうな人がくっついとったり、初めましての人達が話しとったり、そういうのを見て羨むわけもなく。帰って見たいアニメを考えながら、春休みの宿題を提出していた。<br />
<br />
その日はホームルームで終わり、明日からの土日を挟んで、いよいよ本格的に学校生活が再スタートする。いつもは放課後に掃除があるんだけど、今日は担任の判断で無くなり、ゆっくりと帰る支度をしていると...<br />
<br />
「えー雨降ってきたんだけど！！」<br />
<br />
クラスメイトの誰かがそう呟くと、皆一斉に窓の方を振り向いた。土砂降りと言わずとも、アスファルトの上を大きく弾くぐらいには、強く降りしきっていた。予報では、曇りだったけど、、<br />
<br />
「今日はみんな、気をつけて帰るように！」<br />
<br />
担任の無責任の声だけが鳴り響き、帰りの挨拶を終え、ぞろぞろと皆が帰っていく。折り畳みも持ってきてないのに、最悪のタイミングだ。バス停まで濡れるのを覚悟し、立ち上がったその瞬間。<br />
<br />
「すいません！」<br />
<br />
私の左隣、窓際に座っていた彼だ。そっと駆け寄って来ると、<br />
<br />
「これ、森田さんの？」<br />
<br />
私が机の横に掛けてた、小さな手提げを持ってきてくれた、名も知らない同じクラスメイトの男性。<br />
<br />
「ありがとうございます」<br />
<br />
感謝だけして帰っていいのかな、適当に何か話した方がいいのかな。<br />
<br />
そんなことを考えている間に、もうお互い教室のドアに向かっていた。こういう挨拶とかあった後に帰る時って、門まで歩く廊下とかでその人とずっといるのって、ちょっと気まずく感じる時ないですか？これ、私の中の学校あるあるなんですよね。なんて心で呟きながら。<br />
<br />
左前にいる、さっきの男性を横目に、私はずぶ濡れになる覚悟で、カバンを頭の上に置き、走り出そうとしたその時、、、<br />
<br />
「え！森田さん傘持ってへんの！？」<br />
<br />
手提げを持ってきてくれた男性がそう言うと、私は足を止めた。<br />
<br />
「今日は曇りって聞いてて、持って来なくても良かったかなって」<br />
<br />
「濡れて帰ると、風邪ひくよ」<br />
<br />
彼はそう言うと、右手に持つ傘を手渡してきた。<br />
<br />
「俺、折り畳み傘あるから、これ使っていいよ。明日以降に返してくれたらそれでいいから」<br />
<br />
私は小さく頷き、<br />
<br />
「ありがとうございます」<br />
<br />
としか言えんやった。人の優しさに触れたのは、久しぶりだから動揺している。帰り道も同じで、乗車するバスまで一緒だった。歩幅が僅かに小さい私は、少し遅れて彼の後ろに並んだ。強い雨粒を受けた傘を畳んでいると、、、<br />
<br />
「帰りのバス一緒？」<br />
<br />
前に立つ彼が、振り返ってそう尋ねてきた。<br />
<br />
「はい、私もこれですね」<br />
<br />
「あー、そうなんすね。せっかくなんでちょっと話します？」<br />
<br />
そう聞いてきたタイミングで、バスが停車地点に止まった。最近は、のうのうと物事を考えることが多かったから、急に脳のリソースが割かれると、真っ当な判断ができない。<br />
<br />
「はい、いいですよ」<br />
<br />
冷静に解答したようで、私の心の中は焦っていた。だって、まともに人と会話するのなんか、最近では思い出せない。何から話すんだろう。準備しとかないと。<br />
<br />
今日は少し早く終わったから、人は少なめだった。バスの一番後ろの席に腰をかけ、<br />
<br />
「森田さんって、前何組やった？」<br />
<br />
「前は&hellip;2組です。実は去年の秋に福岡から、ここにやって来た転校生なんです」<br />
<br />
「あ！転校生の！てか同級生やから敬語なしでいいよ」<br />
<br />
かなり楽しそうに話してくる、相手のテンションに合わせていたら良いかもしれない。<br />
<br />
「あ、わかった。じゃあそれで」<br />
<br />
「自分、生田剛っていうから、よろしくね」<br />
<br />
「私は森田ひかるです、よろs」<br />
<br />
「また敬語に戻ってる！」<br />
<br />
彼はそう言いながら、よく笑っていた。きっと幸せな人生を過ごしてきたんだろう。<br />
<br />
少しだけ窓を見ると、大きな雨粒で外の景色が見えにくくなっていた。夕立が予測できない未来は嫌いだ。<br />
<br />
「転校生なぁ。やっぱ新しい環境ってどうなん？楽しい？」<br />
<br />
何も楽しくない、気づけば勝手にこんな環境になっていたし、勝手に地球は回っていた。私の貴重な時間が奪われていくようで、腹立った時もあった。とか言うくせに、一人でいる時も時間を有効に使えていない。<br />
<br />
「まぁ、ぼちぼちって感じかなって。でもそんなに社交的なタイプじゃないから、友人とかは作れていなくて」<br />
<br />
「あー、部活とかは？」<br />
<br />
「実はやってなくて」<br />
<br />
「そっかぁ」<br />
<br />
一つ間を空けて、こっちを振り向くと、<br />
<br />
「まぁ俺は森田さんのことよくわかってないから、別に何を言うわけでもないけど、、、<br />
<br />
まぁ、あれ。これからよろしくね」<br />
<br />
相槌を打った私を横目に、私が降りる終点の一つ前で、彼は下車した。こんな私を快く受け入れてくれていたのか、はたまたいつもあんな感じで他人と接しているのか、よくわからない。でもたった一つ、確かなことがあるとするのならば、<br />
<br />
少し、嬉しかった。<br />
<br />
それだけの感情と、彼が渡してくれた傘を片手に、私は終点で降りた。<br />
<br />
帰宅をした時に、持って帰ってきたものは、明らかに今朝登校した時より重くて、とてもじゃないけど、今の私ではこの変な感情を鎮火させることはできない。<br />
<br />
もう今日は何も考えずボーッとして寝よう。起きればもう消えてることを願って。<br />
<br />
<br />
次の登校日、いつもの通学しているバス。全く意識していなかったあの人が、もしかしたら乗ってくるんじゃないか？と気になってしまう自分がいた。一つ先のとこで降りとったような&hellip;なんてとこだっけ。<br />
<br />
<br />
「次は、櫻坂前、櫻坂前」<br />
<br />
<br />
運転手が鼻にかかったような声でそうアナウンスすると、私は出入り口を、左後ろの席から覗き込むように凝視した。長い列の後ろから二番目にいるあの人。名前は&hellip;生田さんだっけ？<br />
<br />
バレないように目線を逸らし、携帯を触っているフリをした。ゆらゆらと歩く彼は、私の一つ前の席に座り込んだ。<br />
<br />
一回話しただけなのに、変に意識してしまう。相手はなんも思ってないとわかっていても、意識してしまう。<br />
<br />
「すいません、昨日貸してもらった傘返すね。ありがとうございました」<br />
<br />
私はそう言い、ゆっくりと彼に借りた傘を手渡した。<br />
<br />
三ツ坂高校の最寄りに到着し、あの初めて喋った時と同じ歩幅で、同じ距離感で離れていくのがわかってしまう。あの時と違うのは向かう方向が逆ってことと、天気が少し明るいってことだけ。<br />
<br />
それでも、教室で授業が始めると、案外隣の彼のことは忘れることができた。こう見えても、自分の世界に入り込むことは得意で、授業中によく別のことを考えることが多い。大好きな鳥の名前を羅列したり、これから読む漫画を吟味したり、よく上の空になることがあった。<br />
<br />
数学Aの時間、急に小テストが行われた。先生は「春休みで弁償した分の実力を測るぞ」と、得意気な顔で言っていたが、生徒を数字でしか評価できない人は好かない。いや、もちろんそれが正当なことはわかっているけど。内容はわからないまま、前年度に習ったであろう範囲の小テストを終えた。<br />
<br />
「それでは隣の人と交換して答え合わせを行います」<br />
<br />
急な自分の世界からの分離、ふと左隣を見ると、<br />
<br />
「はい、森田さん」<br />
<br />
「あ、どうも」<br />
<br />
答え合わせはお互い酷いものだった。10点満点なのに、半分も合ってない。隣の彼も案外賢いようでそうじゃないみたい。そう思い少しだけニヤけていると、<br />
<br />
「え、これ何？もしかしてゲームの？」<br />
<br />
生田さんが私の小テストの解答用紙を返してくると、そこには私が消し忘れた好きなゲームのキャラクターの名前が薄っすらと残ってしまっていた。不真面目さがバレたと同時に、恥ずかしい気持ちも押し寄せてくる。<br />
<br />
「あ！あぁ、そうそう。昔のハードが好きで」<br />
<br />
適当に流しては見せたけど、きっと聞こえてしまってたんだろうな、この焦ってる感じ。<br />
<br />
「森田さんゲーム好きなんだ、実は俺も結構好きで」<br />
<br />
そう呟かれた瞬間、教室が静まり返った。<br />
<br />
「次の昼休みに続き話そ」<br />
<br />
小声で私にそっと語りかけてきた。その後の授業中はなんだろう、自分の世界に入っているようで、どこか気分はフワフワしていた。心はソワソワしているし、時間の経過も早く感じた、楽しみがあれば時間が進むのは遅く感じるはずだから、楽しみにしているわけじゃない。でもこの高揚感はなんなんだろう。その正体不明の謎を探っているうちに、チャイムが鳴り響いた。<br />
<br />
ゆっくりと着席し、自分のお弁当箱を取り出すと、<br />
<br />
「森田さん！さっきのゲームのキャラ見るに、もしかしてドンキー64やってた？」<br />
<br />
「うんそう！親が持ってた64を借りてやってた」<br />
<br />
「めっちゃコア&hellip;俺も結構64好きでさ」<br />
<br />
私たち二人は、持参した昼食を教室の片隅で食べながら、周りの人がわからなさそうな話題で盛り上がっていた。もしかしたら、新学期のこのクラスで一番楽しんでいるまであるかもしれないぐらいには話がヒートアップしていた。ゲームという趣味が合う人は居ても、同じゲームでしかも流行りものじゃない作品っていうのは、そりゃ話せるものと思ってなかったから、余計に嬉しい気持ちになる。しかも偶然隣になった人で、帰り道が同じで、ちょっとしたシンパシーすらも感じた。その偶然の確率は、計算しても答えは出ない。<br />
<br />
「地面下にあるメダルとか最近見つかったらしいな！」<br />
<br />
「あのミニゲームめっちゃ難しかったんよね！」<br />
<br />
「あいつめっちゃ茶目っ気あって可愛いよな！」<br />
<br />
多分、今は周りのことが見えていない。お昼を食べ進むスピードも落ちている。ひたすら趣味を共有できるのが嬉しい。もしかしたら私は、この地の海に灰を浮かべた地獄という名の学校という混沌から抜け出したのかもしれない。<br />
<br />
話に夢中になっていたら、もう次の授業まで5分を切っていた。<br />
<br />
<br />
「あ、お昼早く食べないとね。それとどうする？今日も一緒に帰る？まだ話し足りないしさ」<br />
<br />
生田さんのゲーム愛がそう発言させたんだろうな。私は、決まってすぐ返答した。<br />
<br />
「うん、そうしよ」<br />
<br />
<br />
その約束から、私たちは帰りを共にすることが多くなった。お互い帰宅部ってこともあって都合悪い日はないし、友人もあまり多くないみたい。結構いろんなこと話したな。もちろんゲームの話題は大半を占めてた。最近はSwitchのスマブラとか、PS4のApexにハマっているようで。あと学校の話題も多かった、一年の時どう過ごしたかとか、どの先生が好きだとか面倒だとか。あ、あれだ。性格のこともちょっとはわかった。案外シャイらしくて、私に手提げを持ってきてくれたあの日、かなり緊張してたみたい。彼とはかなり長い時間喋ったな。持つべきものは友って言葉があるけど、決して嘘じゃないのかもね。まぁ連絡先は、教わってないけど。<br />
<br />
あれから一ヶ月、梅雨入りを予感させるように、少し足元の悪い日が続いていた。<br />
<br />
「ひかる！最近、夕ご飯よく食べるようになったね！」<br />
<br />
とある日の我が家の食卓、お母さんが何かに気づいたのか、私にそう笑顔で言った。<br />
<br />
「あと、表情も柔らかくなったんじゃない？」<br />
<br />
私は素っ気なく相槌を打ったが、そりゃそうだ。当たり前やん。混沌に飲まれていた期間が長かった分、抜け出した近頃。<br />
<br />
<br />
私、盛り上がり中なんやもん！<br />
<br />
<br />
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー<br />
<br />
<br />
今日はえらく豪雨になっちまった、放課後は最近、森田さんと帰るんだけど、今日はバレー部の雪城愛華って子が用事があるって言うから、体育館近くのベンチに腰をかけていた。まぁ同じクラスの友人。というか、随分と土砂降りになったな。まぁ、あの日のように、森田さんは傘を忘れてなかったから安心した。そりゃあの時は夕立だったわけだし、仕方ない部分があるんだけど。<br />
<br />
体育館からボールが叩きつけられる音が消えたと思ったら、もうスパイクを履き替えて、バレー部の皆がぞろぞろと正面出口から雪崩のように出てくる。気持ち、ウキウキした表情の子が多いな。最後尾に雪城の姿が見える、話だけ聞きにいくか。<br />
<br />
「雪城、お疲れ様。どうしたの、用事って」<br />
<br />
「あぁ、生田ー。実はね、保乃さんが来てくれるんだって！！」<br />
<br />
「保乃さん？あぁ、あの有名なね」<br />
<br />
まさか、それだけのために呼び出したのか？いや、まぁその先輩の名は田村保乃って言って、隣の國陵って高校の卒業生なんだけど、その國陵高校女子バレー部をインターハイに導いたエースで、かなりの美形でこの地域では噂になるぐらいの人物だからな。女子バレーの方では、うちらの三ツ坂高校と國陵高校は親密な関係だから、お隣のスター卒業生も、時々この学校に顔を覗かせているって話だ。案外、その田村って人に雪城は結構可愛がってもらっているらしい。俺は会ったことないけど、面識もない人と接するなんて得意なことじゃないし別に。なんか、森田さんとは喋ろうと積極的になれたけどな。<br />
<br />
「どうせなら、生田もなんか言っとけば？結構人生相談とか乗ってくれるよ」<br />
<br />
「なんも知らない人にそんなこと言えんわ」<br />
<br />
体育館側にいる女子生徒の方から黄色い歓声が聞こえる。視線の先には、肩幅がしっかりとした子綺麗な女性がこっちに向かって歩いている。<br />
<br />
「保乃さーーん！！」<br />
<br />
「保乃先輩！！！！」<br />
<br />
雪城も喜び勇んで駆け足で向かった。いや、俺が何しろって言うんだよ。<br />
<br />
「みんなー、元気してたー？最近、大学忙しなって、来れんかってん、ごめんなぁ」<br />
<br />
随分とイメージとは違う、おっとりとした感じなんだな。ガッツリ体育会系だと思い込んでたよ。<br />
<br />
ちょっと耳を傾けていたが、スパイクのコツとか、プレースタイルがどうとか、試合本番をどう乗り切るかとか、バレーの話ばっかで、よくわかんなんねぇな。<br />
<br />
「あー！愛華ちゃん！どう？調子はいい？」<br />
<br />
「はい！保乃さんのおかげで、一つ一つ、技術が上達している気がします！！」<br />
<br />
雪城が田村って人に頭を撫でられているのは目視できた。しっかし何を聞かされてんだろうな。<br />
<br />
「そういえば保乃さんは、大学ではどうなんですか？」<br />
<br />
そう質問したのは、雪城じゃない他の部員だった。<br />
<br />
「あぁ、そうやな。実はイマイチやりがいを感じてないんよな。バレー推薦で入ったんはええねんけど、なんやろ。高校の頃とは少し違って、燃え尽き症候群ではないねんけど、どっか本当の熱意みたいなもんが燃え上がってこうへんのよな」<br />
<br />
やはり、すごい人はすごい人なりに苦労してんだな。いや、逆にそういう人ほど、俺らみたいな平凡な奴らより厳しい道を歩いてきてると思うしな。<br />
<br />
「でな、私、もっと新しく熱中できるもんが欲しくて&hellip;<br />
<br />
夏にある、坂道合同オーディションっていうもんに応募してみようと思ってんねん！」<br />
<br />
田村さんがそういうと、皆は拍手喝采だった。「必ずアイドルになれますよ！」だとか「夢、応援してます！」とか、あれだけ支えてくれる人たちがいたら、モチベーションにも繋がるんだろうな。知らねーけど、そんなオーディション、全く興味ねぇし。<br />
<br />
今は。<br />
<br />
そのあとは、また部活とかのこと話して解散してた。結局、田村さんとは話せず終いだったよ。当然、わかりきってたことだけど。つまらねぇ時間を過ごしたと思って、カバンを肩にかけたその時、雪城が駆け足でこっちに向かってきた。<br />
<br />
「ごめーん、どうせやったから保乃さんとコミュニケ取ってもらおうと思ってたんだけど」<br />
<br />
「いいよ、どうせなんも喋れないし。あんま知らない人のこと聞いても、相手に迷惑でしょ」<br />
<br />
「ま、そっか。あ、実はね」<br />
<br />
次はなんだよ、変に嫌な予感するけどな。<br />
<br />
「最近、よく喋ってる子いるよね？同じクラスに」<br />
<br />
ちょいとドキッとした。恐らく森田さんのこと言ってきてるんだろうし。<br />
<br />
「あぁ、あの子な。それが何？」<br />
<br />
「いや、生田ってあんまり、女性とか好きなタイプじゃなかったし、なんならさ、一緒に下校とかしてるじゃん？」<br />
<br />
だったらなんなのさ。<br />
<br />
「もしかして、あの子のこと好きなの？？」<br />
<br />
「いや、そんなんじゃない。そんなんじゃないから」<br />
<br />
思わず食い気味で即答してしまった。実際、恋愛感情はなかったからな。<br />
<br />
「そっか。まぁ生田が楽しそうでいいなって思うけど」<br />
<br />
「うん。まぁ結構ええ子やしな。話はそれだけ？」<br />
<br />
「ごめんね！また保乃さんが来た時にコンタクト取れるよう掛け合っとくね！」<br />
<br />
「いや、それももういいから！」<br />
<br />
きっと最後の言葉まで、あいつの耳には届いてないんだろう。雪城は駆け足で部員の群れに入っていった。森田さんのことを詳しく探ろうとしたんだろうか。軽くいなしてやったし、もう気にかけることもないだろう。<br />
<br />
しかし、アイドルって夢はすげぇな。自分も大きな夢を持っていきたいよ。<br />
<br />
ジメジメしてる、梅雨入りの嫌な季節。自分でも理解できない感情を、また少し曇らせてくるようで、若干、<br />
<br />
うざったい。<br />
<br />
<br />
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー<br />
<br />
<br />
「あぁ、めっちゃ雨降っとる」<br />
<br />
6月某日、早朝に自分の部屋のカーテンを開くと、時間が間違えてるんじゃないかと錯覚するほど、辺りは暗かった。と言うのも、私は寝ようと思えばずっと寝られる体質で、最長で27時間寝続けた過去があるから、もしかして寝過ごしたんじゃないかと思った。いや、親が起こしてくるだろうからそれはないけども。雨の日が本格的に増えてきて嫌気が差すなぁ。<br />
<br />
いつものダイヤのバスに乗車し、いつもの後ろ端の座席に座ったけど、今日は生田さんの姿が見えない。一本ズレちゃったのかな。<br />
<br />
軽快な足取りで教室のドアを開けると、今日の当番を横目で確認すると、<br />
<br />
「私と、生田さん？」<br />
<br />
そう呟くと、背後から誰かの足音が聞こえ、<br />
<br />
「森田さんおはよ、今日は当番だったからちょっと早めに来て、朝の仕事を捌いてた」<br />
<br />
「あ、ありがとう。当番一緒って、奇遇だね」<br />
<br />
「特別何をするわけでもないんだけどね、今日はよろしく」<br />
<br />
私は口角を少し上げ、小さく頷いた。とは言っても、本当に特別何をするでもなかった。いつも通り、かったるい授業を受けて、時にうとうとして、昼休みに生田さんと話しながらご飯食べて、外で学校生活を謳歌する生徒を見て頬杖ついて、そうしてたらもう帰りの時間になっていた。<br />
<br />
「森田さん、後はクラスの教室の掃除が終わったら、確認して終わりだから、俺がやっとくよ」<br />
<br />
「いやいい、最後まで付き合うよ」<br />
<br />
私はこう見えても几帳面で、自分に任されたタスクがあると、最後までやらないと気が済まないタイプの人間で、自分でもそこは大事にしたい性格だと思っている。<br />
<br />
帰りの挨拶を済まし、気だるそうに掃除をするクラスメイトを見ながら、少しだけ手伝っていた。あんまり綺麗にしたとは言えないけど、本人たちは「部活あるから」とか「先輩に呼ばれてるから」と何かしらの口実をつけて解散していった。なんでこうも不真面目なんだろう。<br />
<br />
「確認おっけ、森田さんそっちは？」<br />
<br />
そう言いながら、教室の鍵を持ってこっちに近づいてきた。私は一つ返事で、<br />
<br />
「もうちょっと、綺麗にしない？」<br />
<br />
そんな面倒なことも、文句ひとつ言わず、生田さんは付き合ってくれた。15分程度だったかな。グラウンドを見ればサッカー部が元気そうにランニングをしている。あれ、雨はもう上がったんだ。<br />
<br />
何を思ったのか、私は雨粒が大量についた教室のガラス窓を、そっと左手で触れた。<br />
<br />
「森田さん、こんぐらいにして帰ろっか」<br />
<br />
「うん、そうだね」<br />
<br />
反射してる自分の顔が見える、私、最近は自分の顔すらまともに見てなかった。なんか、前に見た時よりも、くっきりと見える。輪郭というか、形状が浮かび上がっている気がして。<br />
<br />
「どうしたの、黄昏てる？」<br />
<br />
私のすぐ後ろから、そう問いかけてきた。ううん、違う。自分の姿が、水滴に映されている。嘘がまるでない、自分の姿が。<br />
<br />
「あ、付き合わせちゃってごめんね。帰ろっか」<br />
<br />
私たちは教室から出て、鍵を閉めて渡り廊下を歩き、校門のすぐ側まで足を運んだ。<br />
<br />
「今日は雨上がったね」<br />
<br />
生田さんが、空を見上げてそう語りかけてくる。その次の瞬間やった。<br />
<br />
「せっかく天気も落ち着いたんだし、ちょっと寄り道してかない？」<br />
<br />
確かに緊張する音が私には聞こえた。あの時以来、このドキッとくる瞬間を体感してなかったから焦ってしまう。動揺したらあかん、そう。<br />
<br />
「いいよ、遠回りとか？」<br />
<br />
「んー、そんな変わんないと思うけど」<br />
<br />
彼の歩く道を辿りながら、私は緊張がバレないように、少し俯いて歩幅を合わせていた。いつもの交差点の信号を渡るところ、今回は渡らずに、道外れの住宅街の方に向かった。<br />
<br />
ほんの少しの距離を歩くと、そこにはブランコが二つ、鉄棒と小さな子供しか使えないような滑り台に、推定三人ぐらいしか座れないような木材のベンチが置いてある公園が見えてきた。何、この場末の公園、こんなとこあったんだ。<br />
<br />
「生田さん、ここに来たかったの？」<br />
<br />
「うん、意外と落ち着くよ。ここ」<br />
<br />
生田さんはブランコについてある水滴を払い除け、ゆっくりと腰をかけた。<br />
<br />
それにつられるように、私も同じように水滴を払い、少し冷たいブランコに手をかけ、ゆっくりと腰をかけた。<br />
<br />
「俺、こっから見える景色がそこそこ好きでね」<br />
<br />
「あ、そうなの」<br />
<br />
私が右を振り向くと「そこそこ」と言った理由がわかるような、地味だけど、どこか静穏さを感じるような雰囲気の街並みがそこにはあった。<br />
<br />
「あぁ、なんか好きなのわかるかも」<br />
<br />
「でしょ、結構気に入ってんだよね、ここ」<br />
<br />
そう会話しながら、少しずつブランコを漕ぎ始めた。実はブランコは子供の頃からちょいと得意だったし、結構好きだったから、童心に帰るような思いだった。<br />
<br />
「結構、派手に漕ぐね、森田さん！」<br />
<br />
そう彼がこっちを振り向き、微笑んでくるものだから、微笑み返してあげる。<br />
<br />
「久しぶりやから、勢いが！」<br />
<br />
「いやぁ、俺は漕ぐの自体がそんな好きじゃないからさ」<br />
<br />
そう言って、彼は地に足をつけ、ブレーキをかけた。<br />
<br />
「あ、森田さん！」<br />
<br />
私も一旦スピードを殺し、彼の言葉に耳を傾けた。<br />
<br />
「連絡先とか、交換しとく？何かと困らないし」<br />
<br />
うん、当然、もう隠せない。自分でもわからないぐらいの笑顔だったのかな。<br />
<br />
「いいよ！」<br />
<br />
彼と連絡先を交換して、その公園を後にし、いつものバスで彼と別れた後に、LINEをすぐに開いた。<br />
<br />
「ごう」って名前、アイコンはカービィ。ホーム画像は趣味のゲームから。一言は何もなくて、さっぱりしたプロフィールだった。<br />
<br />
自分の部屋で、好きなポケモンのぬいぐるみとだらけていた時に、一通のLINEが届いた。<br />
<br />
『今日はあんな辺鄙な公園まで付き合ってくれてありがとう！』<br />
<br />
どうせなら、すぐ返信してしまおう。<br />
<br />
『いいえ！知らないところやったけど、なんか落ち着いた笑　こちらこそありがとうー！』<br />
<br />
『次はもっと栄えてるところを一緒に歩きたいね！』<br />
<br />
え？これって何？遊びのお誘いなの？思い切って乗ってしまっていいのかな。<br />
<br />
『そうだね、この近くでいいところある？』<br />
<br />
『あるよ！櫻坂駅降りたら、ショッピングモールとか商店街とかあるし、少し足を伸ばしたらテーマパークとかも！』<br />
<br />
『お！じゃあ明日に学校で決める？』<br />
<br />
調子に乗って送っちゃった。私、取り乱してないかな。大丈夫かな。<br />
<br />
『おっけそうしよ！んじゃまた明日ね、おやすみー』<br />
<br />
『おやすみなさい！』<br />
<br />
日が経つに連れ、私は表情が柔らかくなっているのがわかる。少なくとも、今学期が始まるまでの自分とは全く違う。あの人と会ってから、間違いなく変わった。いや、私自身が変わろうと思って変わったわけじゃないのはわかっている。でもひたすら、楽しいと思えるこの時間が、いつの間にか好きだった。<br />
<br />
私は、あの公園での出来事を思い返しながら、ひんやりとしているようで、どこか温かみを感じるベッドに寝転び、眠りについた。<br />
<br />
完全に閉め忘れたカーテンの隙間から漏れる日差し。いつもなら日光が目に刺さって気分が悪くなることも、そうは思わなくなっていった。早起きしたのも、いつ以来だろう。<br />
<br />
一つだけため息をついて、今日の支度を済ます。もう制服に着替えて、あることないことを頭の中でめぐらせていた。<br />
<br />
ベッドに腰を落とし、もう一度彼とのLINEを振り返っていた。間違いなく、遊びの誘いだ。どこに行くんだろう、あんまりアウトドア派じゃない私だったから、それも含めてワクワクしていた。<br />
<br />
どれだけ早く起きても、家を出る時間は一緒。乗るバスは一緒。座る席も一緒。そしてチラッと見える彼の姿、少し振り向いて会釈するこの時間。決まって降りてからは、行動を一緒にすることなく、学校に着いたら挨拶をしてまた笑い合う。話したい誰かがいるって、それなりに幸せなんだと思った。<br />
<br />
放課後のチャイムが鳴り響く、それは私にとっては、始まりの合図だった。<br />
<br />
「生田くん、昨日の件について話さない？」<br />
<br />
私は、カバンを背負うと同時に、彼にファーストコンタクトを取った。<br />
<br />
「そうそう、とりあえず帰り道で決め合う？」<br />
<br />
彼がそういうと、私は頷いて、同じ歩幅で下校を共にした。<br />
<br />
「森田さんって、どういうとこ好きなん？ほら、アクティビティが好きな子もいればさ、ゆったりしたい子もおるやんか。だからお互いの趣向を見合って決めた方がええかなって」<br />
<br />
「そうねー、私は結構インドア派なんやけど、外に出る機会が少なかったから、久しぶりに外出て何かしら観光というか、遊びを満喫したいとは思ってるけど」<br />
<br />
「なるほどね。じゃあ遊園地とか水族館とか、映画館とかショッピングモールとか、数あるけど、正直どこでも問題はないって感じ？」<br />
<br />
「うん。でもあれだね、梅雨の時期だし屋外はちょっと面倒になるかもねー」<br />
<br />
「なるほどね、あ！ゲーム好きやったやん？」<br />
<br />
目を見開いてこっちを向いてきた。凄くテンションが上がったのが伝わってくる。<br />
<br />
「ゲームをやる日と、外で遊ぶ日の二つ欲しいなって」<br />
<br />
「あぁいいじゃん！じゃあ二日間ってこと？」<br />
<br />
「そうそう！ちょうど今日金曜やし、明日と明後日とかどう？」<br />
<br />
運命すらも味方、周りに生徒がいることなんて、その時の私は考えることもなかった。<br />
<br />
「そうしよ！」<br />
<br />
彼は今ちょうど、両親が旅行に出ているらしく、家に一人らしいから、生田さんの家でゲームを楽しむことになった。二日目のことだけど、明日遊ぶ時に決めることになった。その辺りの目の前にあることを楽しんで、次工程を先延ばしにしちゃう感じ、ちょっと似てるとこなのかもしれない。<br />
<br />
家に帰ってからは相変わらずソワソワしていた、久しぶりにタンスにある洋服を取り揃えて、何がいいか吟味した。持っていくゲームも、好きなものから、意外とハマりそうなものまで、全部引き出しから持ってきた。明日と明後日の二日間は、きっといい日になる。そう思い、夜中にLINEを覗くと一通のメッセージが届いていた。<br />
<br />
『明日、何時から来る？』<br />
<br />
私はここまで楽しみにしていることは、あまりバレたくない。なんなら間を置いて返してもいい。けど、考えるより、先に手先が動く。感情をコントロールできないって、こういうことなんだって。<br />
<br />
『お昼ご飯食べてからいくから、13時とかにしよ！』<br />
<br />
『オッケー！着きそうな時間に連絡くれたら、ロビー降りとくな！』<br />
<br />
私にとって楽しみで仕方ない二日間が、これから迎えようとしとる。早く寝てコンディションを整えていくか、逆に遅く寝て、起きたらもう時間が来そうなラインで、待つ時間を消費させるか。そんなつまらない考え事をしながら、隣で寝付くポッチャマのぬいぐるみを抱いて眠りについた。<br />
<br />
パッと目が覚めた、ヤバい。いつも休みの日はお母さんは起こしてくれないから、ちゃんと起きられたか不安になる。そういえば、タイマーする前に寝込んじゃった。慌てて時計を確認しようとしたけど、カーテンを見ると薄暗く、まだ陽は射していなかった。<br />
<br />
「夜明け頃か、、」<br />
<br />
そう小さく呟いた私は、手元にある携帯を覗き見た。<br />
<br />
少しスマホを触っていると、頭が起きちゃって寝られなくなってくる。いやこのまま起きておくのはまずい、早く寝ないと。そう思って最後の動画を閉じようとしたら、画面下部に一つの広告が出てきた。<br />
<br />
『坂道合同オーディション』<br />
<br />
私の大好きなアイドルの、追加メンバーをこの夏に募集するといったものだった。少し気になった私は、その詳細を調べていた。応募条件は整っていて、期限もこれからだから、できなくもない。<br />
<br />
いや、今はいい。とにかく明日のことを考えないと、いや実質は今日のことだけど。<br />
<br />
<br />
時刻にして、お昼の12時46分頃、私は生田さんのバス最寄りである櫻坂前で下車し、彼に連絡を送った。<br />
<br />
「そろそろ着きそう！」<br />
<br />
物事が計画通りに進むと、その後にしわ寄せが来るような気もする。多分、想定外のことも起こりうる。でも今日は、間違いなく勝てる要因しかない。そう信じて疑わず、私は彼の住むマンションのロビーで一人立ち尽くしていた。<br />
<br />
エレベーターが降りて来るのがわかる。三階から二階、一階そしてロビーと。確かに見覚えのある等身が、小走りでこちらへ向かってくると、、<br />
<br />
「ごめん、待たせた？」<br />
<br />
「ううん。全然」<br />
<br />
遊ぶ時に会うのは初めてだったけど、どうも学校でいつも話してるのとは明らかに違っていた。なんやろ、妙な緊張感があるというか、私服とかラフで制服着てる時とは別人のようで。生田さんの目には、今の私はどう映ってるんだろう。<br />
<br />
一歩ずつ、彼の家の玄関に近づいていく。緊張は、うん、それなりにしている方。基本的に舞台での緊張とかはしない方なんだけど、今日は流石にドキドキしていた。<br />
<br />
「はい、どうぞ」<br />
<br />
彼がそう言うと、私はゆっくりと迎い入れられた。<br />
<br />
「お邪魔します」<br />
<br />
丁寧に廊下を歩き、リビングが見えてくる。<br />
<br />
まぁ、拍子抜けというには少し違うけど、至って普通なマンション宅って感じで、私と遊ぶために用意してあるゲーム機と、まっさらで大きなテーブルがある、本当にシンプルなお家。当たり前だけど。<br />
<br />
「森田さんそこ座ってええよ」<br />
<br />
そう言われ、私は一人用の小さな椅子に腰をかけた。人の家に遊びにいくことも少なかったから、イマイチどういうムーブをすればいいかわからない。なるようにしかならないけども。<br />
<br />
「お昼食べてきたんやんな？」<br />
<br />
「あぁうん。だから準備万端！」<br />
<br />
「っしゃ、何やる？」<br />
<br />
私は持ってきたゲーム機やカセットを全て出し、彼と今日何をして遊ぶかを吟味した。対戦ゲームがいいとか、協力ゲームがいいとか、魅せプ目的で一人用のもいいとか。結局この日にやることになったのは、64のマリオパーティ、SwitchのスマブラSP、そしてヒューマンフォールフラットだった。</p>
<p>ゲームをするたびに、私はいつも童心に返る。若返っては、ゲラのツボが普段よりも浅くなって、子供のように笑っていられる。今日は少し緊張していたけど、その多くの不安要素が吹っ飛ぶほど、ゲームは良い薬になった。彼をいい意味で意識しなくなったし、お互いのゲーム理解度も似たようなものだったから、熱に乖離もなく。ただひたすら、つまらないことで笑っては、ときに真剣にやり込んで喜んでは、少しムキになって争っては。戻れた気がする。心だけじゃなくて、私自身も、関西にする前の素直な自分に、近づいた気がして、、<br />
<br />
「いや、森田さんゲームかなり上手いねんな。もっとこう、圧勝というか、余裕持ってやれると思ってたからビビってる」<br />
<br />
「アウトドアよりインドアで、どうしても一人時間が多かったから。あ、もう一回だけ団体戦やろ！キャラは自持ちの5キャラで！」<br />
<br />
「俺は、、キングクルールとセフィロスと..師と...」<br />
<br />
ずっとこの調子で、時間も忘れていたかな。ちょっとムキになってしまったり、勝ち負けに一喜一憂したり、ちょっと煽り合ったりして。私たちは一区切りした後に、少しブレイクタイムを取ることになり、お茶を片手に大きなリビングのテーブルに頬杖をつきながら喋る。<br />
<br />
「もう18時やな。めっちゃ時間忘れてゲームしとったな」<br />
<br />
「久しぶりにオフで対人したから、ちょっと熱くなっちゃった」<br />
<br />
「明日結局どうする？外に出るって話、場所決めてなかったよね」<br />
<br />
「あー」<br />
<br />
少し、考え込んでしまった。私はインドア派なものだから、外に出るのにイマイチ慣れてなくて、行きたい場所とか、どこ行ったら楽しいとか、全然わからなくなってしまう。彼にうまく合わせながら、吟味するのがいいのだろうか。<br />
<br />
「私はそうだな、、最近行けてないというか、どうせなら楽しみたい気持ちはあるけど。生田さんがオススメのスポットなら、全然どこでも大丈夫」<br />
<br />
「んー。テーマパークとかは安定に面白いとは思うけど」<br />
<br />
「全然いいよ！お金とかも気にしないで。せっかくだし、そこ行こ」<br />
<br />
テーマパーク、かぁ、、ぼんやりと考えてはみたけど、ちょっとデート気分すぎるような気もする。水族館とか、図書館とか、落ち着いたムードで過ごすのを提案しても良かったかな。でも、どうせならついて行こう。<br />
<br />
「っし。じゃあ決まり。時間とかは、また今日の夜に連絡するな」<br />
<br />
そう適当に決定された明日のコース、そしてまた詳細を先延ばしにした私たち。そんなことは気にせず、また大きなテレビの前に座り、ゲームを再開した。<br />
<br />
後半戦は、かなり勝率が良く、操作精度も極まっていた。実は、昔から一つ、自分の習性で気づいていたことがある。私は空腹度がある一定ラインを越えると、頭が冴えるということ。この日のこの時間はちょうど、お腹が空き始め、脳が活性化されキレが出始める頃だとなんとなくわかっていた。みんながわかっている言葉でいうと、ゾーンに入るっていうやつ。<br />
<br />
「ちょっと待って、森田さんなんか休憩してから強ない？人変わったみたい」<br />
<br />
彼を驚かせてしまうほど、プレイングがバチバチだったらしい。結局、20時までゲームや雑談で時間を潰した私たちは、ドッグに刺さっているゲーム機本体を抜き出し、<br />
<br />
「つかれたー。もう時間やな。そろそろ終わろっか」<br />
<br />
「いやぁ。めっちゃ時間経つの早かったねー」<br />
<br />
「森田さんが後一回！とか言ってずっとやってっから！」<br />
<br />
「生田さんやって、次ラスト！って何回言ったか覚えとらんもん！」<br />
<br />
ヤバい。つい方言が出てしまった。不意に出たものだから、少し頬を赤らめてしまう。<br />
<br />
「あ、森田さんって九州から来たって言っとったな。今の訛りというか、そっちの方の？」<br />
<br />
「あぁうん。ゲーム中出てなかったかな」<br />
<br />
彼の返答はノーだった。というか、そんなのイマイチ覚えてないか。私が記憶にないんだし。恥ずかし損した気分。そんなことより、そろそろ帰らなきゃ、両親に何言われるかわからない。<br />
<br />
「今日はありがとう。また明日のことはLINEでね」<br />
<br />
私はそう言いながら、持ち込んだゲーム機や付属品をバッグに詰め込み、帰る支度をしていた。<br />
<br />
「こちらこそ。時間とか集合場所考えとくな」<br />
<br />
彼のその一言を聞き、ゆっくりと廊下を歩く。左手のドアが開いていたから、チラッと部屋の様子が見えてしまった。あれ、ポスター？アイドル？え、そんな趣味聞いてない。<br />
<br />
「あっ、生田さんってアイドル好きなの？」<br />
<br />
「あ！そうそう、言ってなかったっけ。今は欅坂が好きでね」<br />
<br />
「私もアイドル好きだよ！！」<br />
<br />
目を見開いて彼の顔をガン見してしまった。私は、アイドルになりたい憧れを持つと同時に、同じく欅坂46が大好きだった。こんなこと黙っとくなんてもったいない。私が1番熱く話せる話題なんだから。<br />
<br />
「え！！そうやったん！？推しは？あー、この話明日にしよか。アトラクションの待ち時間とかに回さん？今日はちょっと遅いし、語り出すと止まらんくなりそうやん」<br />
<br />
私はニヤつきを隠せず、<br />
<br />
「うん、そうしよっか」<br />
<br />
そう言葉を残して、彼の家を後にした。近くのバス停まで見送ってくれて、ようやくお別れといった流れに。友達と真面目に遊んだの、いつ以来だろう。それにしても笑ったなぁ。ふざけ合えたなぁ。なんて思いながら、バスの一番後ろの座席で、下を向きながら今日の出来事を振り返っていた。明日はもっといい日になるかなぁとか、今日は初めてだから硬かったけど、いい雪解けになったからもっと盛り上がるかなぁとか。こんな些細なことを考えながら、私は楽しみを抑えるように、唇をしかめた。<br />
<br />
窓ガラスに反射される自分を見つめた後、ふと光沢がある銀色の取っ手を眺めた。そこに映っている自分と、今窓ガラスに映っていた自分は、同じ顔をしていたんだろうか。同じ表情だったろうか。同じ心情で見つめていただろうか。わからなかったことが、わかり始める喜びと、知りたくなかったことが、知られた楽しさと、自分でも気づくはずのなかった感情が交差している今。<br />
<br />
彼への想いも、私自身の情緒も、あの人がどう思っているかも、交わらないから永遠なのかな。<br />
知らない罪と、知りすぎる罠。その境目に今、私たちは立ち止まっている。<br />
ボーダレスがあるうちに、見つけないといけない。盲目になる前に。</p>]]>
    </description>
    <category>小説</category>
    <link>https://ikutechi46.asukablog.net/Entry/61/</link>
    <pubDate>Mon, 30 Nov 2020 13:36:31 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">ikutechi46.asukablog.net://entry/61</guid>
  </item>
    <item>
    <title>小説「森田ひかるの黙示録」　　あらすじ、登場人物</title>
    <description>
    <![CDATA[あらすじ<br />
<br />
2018年の春に三ツ坂高等学校の二年生に進級した、引っ込み思案な性格の森田(もりた)ひかるは、友達も作らずまた惰性的な学校生活を過ごそうとしていた。そんなある日、同じクラスで隣の席になった生田剛(いくた ごう)と出会い、変化の訪れる春となった。森田は薄らとした「アイドルになりたい」という夢を抱えながら、彼と夢の狭間で彷徨うこととなる。遂に選択を迫られた彼女が出した答えとは...<br />
<br />
<br />
三ツ坂高等学校　2年7組<br />
<br />
<br />
・森田ひかる<br />
<br />
訳あって九州から大阪の三ツ坂高校に転校。春から高校二年生で、アイドルに憧れを持ち、シャイな性格から友人はおらず、学校でもプライベートでも、一人で時間を過ごすことが多い。<br />
<br />
<br />
・生田剛<br />
<br />
生粋のアイドルヲタクで、女性との付き合いが全くない平凡な男子学生。それ以上でも以下でもない。<br />
<br />
<br />
・雪城愛華<br />
<br />
関東出身だがバレー推薦で高校を選んだため、大阪の三ツ坂高校に入学。生田とも仲が良く、学生生活を謳歌している。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
國陵高等学校　卒業生<br />
<br />
<br />
・田村保乃<br />
<br />
三ツ坂高校の隣にあるバレー強豪の國陵高校卒業生。國陵の圧倒的エースとして、インターハイ出場に導くなど、実績も確か。三ツ坂と國陵は親密な関係を保っているため、しばしば三ツ坂高校にも顔を覗かせる。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「森田ひかるの黙示録」では、基本のスタンスは、主人公の森田視点で展開されますが、時に生田視点に切り替わる点もありますので、ご理解いただけますようお願い致します。黙示録と名を打っていますが、完全創作です。櫻坂や登場人物を知っている方は、現実世界とリンクさせながら、楽しんでいただけると幸いです。<br />
<br />
<br />
<br />
※この小説はフィクションです。実在の人物や団体などは関係ありません。]]>
    </description>
    <category>初めに</category>
    <link>https://ikutechi46.asukablog.net/Entry/60/</link>
    <pubDate>Mon, 30 Nov 2020 11:32:41 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">ikutechi46.asukablog.net://entry/60</guid>
  </item>
    <item>
    <title>欅坂46にありがとう</title>
    <description>
    <![CDATA[私が欅坂46を好きになってからの4年間、こうやって坂道を上り続けられたのは、いつだって心に寄り添ってくれる欅坂46が居てくださったから。<br />
<br />
その思い出達を、私は忘れない。みんなが居たから、歩いてこれた。<br />
<br />
<br />
欅坂46と出会って、出逢うことがなかった感情に巡り会うことができた。時に複雑で、単純なようで。<br />
<br />
サイレントマジョリティーで鮮烈デビューしたのも、有明でガムシャラにペンライトを振ったのも、平手に対しての想いが揺れ続けていたのも、二期生への純情な愛も、菅井への感謝の気持ちも、誰がその鐘を鳴らすのか？で力強くパフォーマンスするみんなも、それすらなんだから遠い昔の出来事のような気がしている。<br />
<br />
<br />
嬉しいことも、悲しいことも、苦しいことも、楽しいことも、感情というものにはあまり持続力がないようで。<br />
<br />
好きな人だったり、嫌いな人だったり、大切な人だったり、<br />
<br />
そういう場所で、私達は出会った。<br />
<br />
欅坂46として幕を閉じる本日、2020年10月13日。一分、一秒でもいいから。ずっとずっと続いててほしい。永遠にライブが終わらないでほしい。それでも、終わりがあるから、どんな事も美しいと実感する。<br />
<br />
<br />
いつか私がこの最愛のグループから離れて、大人になって、今の気持ちを思い出せなくなったとしても、きっと愛してきた時のことは、きっと"今日"抱く感情は忘れられない物になる。<br />
<br />
そして、必ず欅坂46を、田村保乃さんを思い出す。何度だって、何回だって。<br />
<br />
私の反対側には必ず、誰かがいる。<br />
私の人生には必ず、誰かがいる。<br />
<br />
いつも必ず、あなた達がいる。<br />
<br />
生まれ変わっても、必ず君たちを大好きになる。<br />
<br />
<br />
<br />

<div>今回のブログで、この｢いくてち｣改めて｢田｣の忍者ブログは最後の投稿にしようと思います。また別の形でブログは書き続けようと考えています。これまで一つの記事でもご愛読下さった皆様、ありがとうございました。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
ありがとう欅坂46。<br />
<br />
そして、<br />
<br />
<br />
咲け、櫻坂46。</div>]]>
    </description>
    <category>欅坂46</category>
    <link>https://ikutechi46.asukablog.net/Entry/59/</link>
    <pubDate>Tue, 13 Oct 2020 04:28:03 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">ikutechi46.asukablog.net://entry/59</guid>
  </item>
    <item>
    <title>KEYAKIZAKA46 Live Online ~AEON CARD With you~ を見て</title>
    <description>
    <![CDATA[<span style="font-size: 14px;">こんばんは、いつもの如く箇条書きでいきます。<br />
<br />
今回は、2020年9月27日に行われた｢KEYAKIZAKA46 Live Online ~AEON CARD with you｣の感想殴り書きになります。<br />
<br />
<br />
</span>今回のライブでは、皆が楽しそうで、欅坂としての一日一日を大切に噛み締めようとするメンバーや、センターのあるべき姿というものを見せられました。感慨深く、時にエモく、そんな記憶に残っている部分を書き残していきます。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
☆セットリスト<br />
<br />
<br />
M.00 Overture<br />
<br />
映像はなんと前回のライブ配信｢but with you｣から構成、小池のアンビバレントや、本気のガラスを割れ、そして何よりも美しい誰鐘などの映像をふんだんに扱い、新二期生&rarr;二期生&rarr;一期生の名前順に。エフェクトもかなり盛り込んだ編集で、ここで留めておくのは勿体ないと思うほどカッコイイ映像でした。また何かの特典映像で見たいです。<br />
<br />
<br />
M01.風に吹かれても (C:小林由依)<br />
<br />
無難な立ち上がりに、フロント右端の藤吉夏鈴の笑顔がここからずっと見離せなくなりました。今回のライブのスタートを切るに相応しい楽曲だったように思えます。とはいっても、一何時使っても大丈夫な曲ですしね、状況をあまり選ばない点では良曲といえますね。<br />
<br />
<br />
M02.危なっかしい計画(C:菅井友香)<br />
<br />
｢寝転がってる場合じゃねぇぞ！｣そう埼玉の狂犬が吠えてオンラインで危なっかしい計画、家の中でタオルぶん回しました。ひかると小林のダンスパートもいけてましたし、まりなの煽りもいけてましたし、二番Aメロ田村保乃もめっちゃいけてました。そしてラストサビ前のてんかりん&hellip;愛してる大好き優勝。<br />
<br />
<br />
MC1<br />
<br />
ラストライブ、そして改名などにキャプテンが触れました。櫻坂は&hellip;欅坂より言いやすいって下りは面白かったですね。友香さんに対して、茜のフォローもあって良かったです。<br />
<br />
M03.302号室<br />
<br />
まさかの線香姉妹！私たちが忘れてましたよ。不意にやられたもんで焦ります。18年のツアー以来とは思えない程の余裕がありました。まぁ、小林と土生は年季が違いますよね。流石お二人といったパフォーマンスだったと思います。<br />
<br />
<br />
M04.僕たちの戦争<br />
<br />
上村さんが途中から入ったのは&hellip;着替えが遅れたからでしょうか？何にしても不自然で笑ってしまいました<br />
<br />
<br />
M05.青空が違う<br />
<br />
私はこの四分間 ｢可愛い、いや本当に可愛い｣しか言ってませんでした。あのですね、友香さんも茜も理佐も梨加も、ベストコンディションだったんですよ。みんな全盛期被ってる奇跡に乾杯ですね。<br />
<br />
<br />
MC2<br />
<br />
ここでは二期生中心に。まりなが見事にタクトを振りました。田村が関とイオンカードCMで一緒に笑っていたのは｢しらすパン｣で盛り上がっていたからだそうですね。決められた台本では愛想笑いでしたが、しらすパンの話題では自然と笑みが零れていたそうです。うーん、可愛い。<br />
<br />
<br />
M06.エキセントリック (C:土生瑞穂)<br />
<br />
土生の気合いがモロに伝わってきました。天ちゃんもパフォーマンスを自分のモノにして来ましたね。井上の滑舌も改善されつつありますw<br />
<br />
<br />
M07.世界には愛しかない<br />
<br />
また世界には愛しかないに心を揺れ動かされました。田村保乃さんが初参戦、弾ける笑顔は約束された勝利でした。フロントは藤吉夏鈴と井上のシンメ、そして何より、守屋茜さんが2ndアニラ以来のセンター！久しぶりに気持ちよくポエトリーリーディングに聞き入りました。鈴本の部分はまりなが務め、今回の友香さんは優しく、そっと手を差し伸べるような憩いのポエトリーでした。二番サビではフォーメーションを三角にしての今回初の試みに。涙に色があったら&hellip;人はもっと優しくなれるんでしょうね。心撃たれる表情の数々、世界には愛しかないで求められる笑顔の全て。間違いなく世界には愛しかありませんでした。<br />
<br />
<br />
M08.二人セゾン (C:小池美波)<br />
<br />
小池のソロダンスはいつも全力で見ていて気持ちいいですね。最後に欅の木の中心にいたのは&hellip;もしかして松平でしょうか？<br />
<br />
<br />
MC3<br />
<br />
ここでは新二期生が回します。中々場数が踏めていないのが顕著に出てしまいました。なかなか上手く話せていない印象です。しかし、できる限りのことをやれてました。緊張しながらも言いたいことを言いきれたのではないでしょうか。大園は感情を言葉にするのが上手ですね。｢欅坂は私に物語をくれた｣と言ってくれたのは&hellip;ファンの私も嬉しく思いました。メンバーにとっては、これ以上ない言葉だったのではないでしょうか。<br />
<br />
<br />
M09.黒い羊 (C:森田ひかる)<br />
<br />
この曲は、センターでとても表現するのが難しい楽曲です。歌詞にいる｢僕｣はセンターが現さなければなりません。周りの人が白い羊だ。自分は厄介者。悪目立ちしてしまおう。そういった常人では感じない｢僕｣を表現しなければなりません。そして今日、フルパフォーマンスで、覚悟を決めて欅坂の真ん中に立ったのは｢森田ひかる｣でした。<br />
<br />
彼女は涙目になりながら、彼岸花を握り締め、欅坂のセンターとしてやり切ったのです。秋に咲き誇るその花、元センターである平手が｢独立｣を表現していたとするならば、森田は｢情熱｣を表現していたと言えます。双方共に、欅坂らしくあったと私は思えます。<br />
<br />
<br />
M10.10月のプールに飛び込んだ (C:森田ひかる 田村保乃)<br />
<br />
黒い羊の次であったこの曲で、森田ひかるは完璧に切り替えてパフォーマンスをやり通しました。爽やかな楽曲に対し、ダンスパフォーマンスは激しいものでした。ラストサビでは田村保乃がソロダンスを真ん中で、一挙手一投足見逃せない表現と表情の数々を見せました。最後には森田ひかると田村保乃が見つめ合い、笑顔でグータッチ。欅坂の今と、櫻坂の未来は&hellip;彼女達が担っていける。このパフォーマンスを見て私はそう思いました。<br />
<br />
<br />
M11.誰がその鐘を鳴らすのか？<br />
<br />
しっかり全員パフォーマンスで締め。新二期生はここしか出番がなかったのは&hellip;少々微妙な点ですね。<br />
<br />
<br />
<br />
☆メンバー<br />
<br />
<br />
・石森虹花<br />
<br />
馬鹿者&hellip;大馬鹿者！<br />
<br />
<br />
・上村莉菜<br />
<br />
僕戦での出遅れ、ブログでネタにしてくれないでしょうかね&hellip;<br />
<br />
<br />
・小池美波<br />
<br />
春夏のセゾン、映画で聞いてから見方がまた変わりました。上手に表現していたと思います。<br />
<br />
<br />
・小林由依<br />
<br />
本当に平均点以上を毎回叩き出すのは感心します。ラストライブでは全て120点を見せてくれるのでしょうか。<br />
<br />
<br />
・菅井友香<br />
<br />
櫻坂はまだ言いやすいので大丈夫でしょう&hellip;今回噛んだ時に｢ある意味絶好調｣って呟いたのはめっちゃ面白かったです！<br />
<br />
<br />
・守屋茜<br />
<br />
MCで友香さんを一人にさせず、しっかりフォローしていたの素晴らしかったですね。ラストライブまで、引っ張ってほしいです。<br />
<br />
<br />
・渡辺梨加<br />
<br />
今日も相変わらず平常運転。ラストライブではキミガイナイ、やらせてあげたいですね。<br />
<br />
<br />
・井上梨名<br />
<br />
少しでしろを探す場面がチラホラ、それでも10プでは夏鈴ちゃんと一緒に踊る場面だとか、セゾンでの笑顔、世界には愛しかないでのハマり。随所で一場面はあって良かったです。<br />
<br />
<br />
・田村保乃<br />
<br />
世界には愛しかないの笑顔は世界には愛しかなかった。私はずっと｢田村保乃は世界には愛しかないが似合う｣と言い続けてきましたが、正しくその通りでした。あの笑顔は、何にも代えられない宝物です。10月のプールに飛び込んだでは、大きな見せ場を自身の持つ最大の表情を活かして躍動しました。そんな等身大のあなたなら、アイドルを愛して欅坂に尽くすあなたなら、もっともっと遠くへいけます。これからも共に坂を上っていきましょう。素敵なパフォーマンスをありがとうございました。<br />
<br />
<br />
・藤吉夏鈴<br />
<br />
笑顔、笑顔、笑顔。どの曲もチラッと見えるその笑顔は、実は夏鈴ちゃんの最大の武器かもわかりませんね。どんな曲でもリミッターを外すのが上手です。可愛い曲なんて持ってこいのメンバーです。今回のライブのセットリストでは、前ポジションが多かったので良い意味で目立っていました。<br />
<br />
<br />
・松田里奈<br />
<br />
MCの回し、誰よりも天才です。<br />
<br />
<br />
・森田ひかる<br />
<br />
今回のライブでより一層、輝きが増したような気がします。特に黒い羊からの10月のプールに飛び込んだを披露するのは、欅坂が大切にしてあるいわゆる｢世界観｣というものを重視した時、表現をすることが難しいと思います。しかし彼女は二つの曲の歌詞まで汲み取り、完璧なパフォーマンスを見せてくれました。もちろん、簡単にやっているようで、本人が苦労したことや、高い壁にぶち当たることもあったでしょう。しかし、ライブという舞台ではそのような仕草も一切見せず、ただ見ているファンのために。全力を持って届けてくださいました。私は心から嬉しかったです。本来、センターに立つものは、そのようにチームを引っ張っていくものだと私は思います。久しぶりにセンターとはどういう物なのか、そしてどうあるべきなのかを見せられたような気がします。ひかる、本当にお疲れ様！<br />
<br />
<br />
・新二期生<br />
<br />
ラストライブでは、しっかり出番があることを祈って&hellip;パフォーマンスの数を増やしていきたいです。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
今回のライブは、MCもそうですが、皆憑き物が取れたかのような軽やかなパフォーマンスが多かったです。ラストライブに向けて、ようやくチームとして纏まってきました。<br />
<br />
10月のプールに飛び込んだは、これからの欅坂(櫻坂)への期待が込められたパフォーマンスでした。二期生にフォーカスが当てられていましたね、MVがお蔵入りになったのも絡んでいるかもわかりません。<br />
<br />
10/12.13にはラストライブが控えています。全員で勝ちに行く準備を整えた、今回はそんなライブだったとも言えるかもわかりません。<br />
<br />
<br />
サイレントマジョリティーや不協和音は、ラストライブに控えさせましたね。その日が来るのを楽しみに。<br />
<br />
<br />
一先ずは、今日ライブをやり切ったメンバーにお疲れ様とありがとうを。これから欅坂としての一日一日を大事にしていきましょう。<br />
<br />
欅坂46の皆様、素敵なライブをありがとうございました！]]>
    </description>
    <category>欅坂46</category>
    <link>https://ikutechi46.asukablog.net/Entry/58/</link>
    <pubDate>Sun, 27 Sep 2020 13:46:36 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">ikutechi46.asukablog.net://entry/58</guid>
  </item>
    <item>
    <title>｢KEYAKIZAKA46 Live Online ~but with you~｣ を見て</title>
    <description>
    <![CDATA[<div>私の感情がまるで整っていないことを理解した上で、下にスクロールしてください。<br />
<br />
<br />
</div>
<div>あまりの感動と同時に、気が動転しており、ほぼ箇条書きです。お許しください。<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>・はじめに<br />
<br />
<br />
</div>
<div>2020.07.16 19:30 この日が特別になることは、現欅坂を愛する者ならば、誰しもが分かっていたことだ。<br />
<br />
</div>
<div>一週間前に唐突に渡されたこの感触は、嬉しい反面、また怖さに怯えていた。<br />
<br />
</div>
<div>「脱、平手友梨奈」 これは欅坂にとっての永遠の課題だった。彼女が在籍していた時も、脱退した後も、ことある事に囁かれ続けた言葉だった。払拭すべく、脱退した 1/23 から歩み出そうとしたが、ウイルス蔓延による足踏み。半年エネルギーをため込み、この日を迎えた。<br />
<br />
</div>
<div>今朝、メンバー全員がブログを更新。内容は当然このライブの告知で、グッズやロゴには何やら新しいイメージカラーも見える。様々な噂がされる中、欅坂の無観客ライブは開演した。<br />
<br />
<br />
</div>
<div>・セットリスト 感想<br />
<br />
<br />
</div>
<div>1．Overture<br />
<br />
<br />
</div>
<div>全員が背中をカメラに向け、光るステージに前身。映像はこのライブ用の編集。新生欅坂としてようやく、形ができた瞬間だった。苦痛を乗り越えた彼女たちの面構えで、私の涙腺はこの時点で既に決壊、大事な一歩を踏み出した歴史的瞬間だったといえる。<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>２．太陽は見上げる人を選ばない（C（センター 以下「C」）：順不同）<br />
<br />
<br />

<div>誰かに何かを言われて、ここから動きたくなんかない」A メロ初っ端にそう強く言い放ち、大地に足をつけているのはいわゆる「旧二期生」と言われる 9 人だ。ラストサビ前には友香さんが半径に並ぶメンバーを駆け回り、天高く腕を突き上げた。まだ太陽は欅坂を見捨ててなんていないことを忘れかけていた。次はファンがいる前でやろうな。<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>3．エキセントリック（C：土生瑞穂）<br />
<br />
<br />
</div>
<div>このライブの楽しみの一つ「センターは誰がするのか」がここからスタート。2019 全国ツアーの糧があったのか、安定したハイパフォーマンス。旧二期生の 9 人は全員選出（恐らく）。このライブで見せ場が多い天ちゃんがねるのポジション、保乃はドームの時より一列前の長沢ポジション。アウトロの天ちゃんの微笑み、、無理じゃないですか？<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>4．東京タワーはどこから見える？（C：森田ひかる）<br />
<br />
<br />
</div>
<div>各々が見せ場を作り上げるこの楽曲、ラストの平手ポジションには森田が選出。ここから森田は確かな闘志を魅せ始めていた。私は 2 番サビの茜ダンスめっちゃ好き。<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>5．Student Dance（C：森田ひかる）<br />
<br />
<br />
</div>
<div>無機質で愉快なマリオネット。ここでも森田が圧倒的な存在感。東京ドームの理佐がカメラを抑える再現もまた一興。「校則なんて Discard」の両手 Good はなんと田村保乃。優勝おめでとう。<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>6．Nobody（C：小林由依）<br />
<br />
<br />
</div>
<div>各部屋で数名に分かれて怒涛のカメラ切り替えで目が追い付かなかったけどカッコ良かったのは覚えてます（うろ覚え）。小林の歌声の良さをラスサビで再確認。<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>7．アンビバレント（C：小池美波）<br />
<br />
<br />
</div>
<div>衝撃のパフォーマンス。一番驚かされたかもわかりません。カメラを自在に操る超攻撃的な小池さん。超ド級にビビりました。アンビバレント史上一番良かったです。最高。<br />
<br />
<br />
</div>
<div>・換気タイム</div>
<div>ナレーションは多分庄司さん、大好き。<br />
<br />
<br />
</div>
<div>8． 大人は信じてくれない（C：山﨑天）<br />
<br />
<br />
</div>
<div>これもまた続けて衝撃パフォーマンス。換気タイムなくて続けざまにやられたら果てていただろう。14 歳だから凄いのではなく、天ちゃんだから凄いのです（？）</div>
<div>痺れる表情の数々、表現力の作り方。彼女がブログでより一層気合いが入ってたのが頷けるベストパフォーマンスだった。そしてねるポジションには保乃。ラストサビの全身全霊の姿、あれこそが真骨頂だ尊い（合唱）<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>9．避雷針（C：渡邉理佐）<br />
<br />
<br />
</div>
<div>理佐は何をしても画になる。映える。「無関心は見方だ」での背景との重なりよ。あと茜の暴れっぷりが際立つ最後のダンスも好き。避雷針は関も似合っててとても良い。<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>10．風に吹かれても（C：小林由依）<br />
<br />
<br />
</div>
<div>全員笑顔、全員楽しそう、笑顔の風に吹かれてもが帰ってきた、大好き<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>11．ガラスを割れ！（C：小林由依）<br />
<br />
<br />
</div>
<div>全ステージを広々と使ったパフォーマンス。全て出し切るぞと言わんばかりの気迫。曲入り前の上着羽織る演出のカッコよさ。小林の鬼気迫る姿に感化されるように、皆も激烈に強いダンスを繰り広げる。最強のガラ割れここにあり。ここでまた泣いてしまいました。</div>
<div>本気の欅坂、惹かれる世界観を余すことなく見せつけてくれた。たまらなく好き。<br />
<br />
<br />
<br />

<div>・メンバーからのメッセージ<br />
<br />
<br />
</div>
<div>めちゃくちゃ端的に書くと「10 月のラストライブをもって欅坂は活動中止、そして違うグループ名に生まれ変わる。」といった内容。</div>
<div>これはまだ整理がついていない。未だに文字を打っては消して、考えては違うってなってを繰り返している。この題材については後日、落ち着いてから違う記事に書こうと思う。</div>
<div><br />
<br />
<br />
</div>
<div>12．誰がその鐘を鳴らすのか？（C：小林由依、欅坂 46）<br />
<br />
<br />
</div>
<div>上記の通り、欅坂は活動休止となるため、ラストシングルとなった最強で最高の希望の楽曲。全てはこのためにあった。一期生、二期生、新二期生、全員選抜。一番サビは小林がセンターにいたが、途中でゆっかねんに入れ替わったり、二番サビでは森田が真ん中となり二期生を中心の布陣に変わったり、新二期にもスポットライトを当てた集大成のような</div>
<div>仕上がり。メロディー、歌詞、メンバーの想い、全てが最高峰の超絶神曲。忘れられない、思い出の曲となった。私は欅史上一番好きな曲と思える。大号泣しながら見てた、この曲をラストシングルにしてくれて本当にありがとう。<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>気になったメンバー<br />
<br />
<br />
</div>
<div>・石森虹花<br />
<br />
<br />
</div>
<div>相も変わらず潤滑油。どの曲を艶めかしい。<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>・尾関梨香<br />
<br />
<br />
</div>
<div>可愛い曲があれば勝負させたいメンバーなので、ラストライブではその方面を活かしてほしいと願うばかり。<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>・小林由依<br />
<br />
<br />
</div>
<div>毎回 80 点以上とか言ってたが、どうやら違ったようだ。毎回 100 点以上を取れるオールマイティなメンバー。Nobody の斜面ダンス好き。<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>・小池美波<br />
<br />
<br />
</div>
<div>完全に自分のモノにしたアンビバレントに脱帽。ガラス MV で浮いてると言われた子が、一人で世界観を作り上げて、その場を席巻していた。凄い、ただただ凄い！<br />
<br />
<br />
</div>
<div></div>
<div>・佐藤詩織<br />
<br />
<br />
</div>
<div>東京タワーの柔軟ダンス好き。<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>・菅井友香<br />
<br />
<br />
</div>
<div>今まで欅坂を守ってくれてありがとう。最大限の感謝を示したい。大好きなキャプテン。<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>・守屋茜<br />
<br />
<br />
</div>
<div>今まで友香さんを支えてくれてありがとう。これからはもっと、MC で引っ張れたらいいな。<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>・渡邉理佐<br />
<br />
<br />
</div>
<div>クールだけど、ライブだと感情むき出しでパフォーマンスするのめちゃくちゃ好き。今日のオトシン最高だった。<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>・井上梨名<br />
<br />
<br />
</div>
<div>あんまり彼女がボロボロに泣いてるのをみたことがなかった故に、メッセージの時に大粒の涙を流していたのが印象的だった。相当な覚悟と欅坂への想いで溢れていて素敵なメンバーだと再確認。エキセントリックの「元のネタはどこにある？」の活舌良くなってたね！</div>
<div><br />
<br />
<br />

<div>・関有美子<br />
<br />
<br />
</div>
<div>ライブ後の特典配信で涙ながらの「ありがとうございました」でもらい泣きした。今まではそんな気にならなかったけど、とある FF のおかげで今や大好きに。</div>
<div><br />
<br />
<br />
</div>
<div>・田村保乃<br />
<br />
<br />
</div>
<div>全身使ったパフォーマンス、久しぶりに見れてそれだけでも幸せだった。オトシンを見てわかる、伸び代に震えてる。誰鐘でも素敵な表情。そして何より、欅坂が好きなのがひしひしと伝わる等身大のあなた。これからも推しでいます。素敵なパフォーマンスをありがとう。</div>
<div>&nbsp;<br />
<br />
<br />
</div>
<div>・藤吉夏鈴<br />
<br />
<br />
</div>
<div>メッセージ場面で一番涙を流しているように見えた。誰鐘のパフォーマンス中でさえも。</div>
<div>&ldquo;欅坂&rdquo;に懸ける想いがより一層強くなってたのではないだろうか。これから夏鈴ちゃんが、前を向いて笑顔で歩き出せることを信じて。<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>・森田ひかる<br />
<br />
<br />
</div>
<div>次のエースは彼女だと確信したのは東京タワー。飄々としているのが良いアクセントになっている。<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>・山﨑天<br />
<br />
<br />
</div>
<div>旧二期生で一番驚かされたのは当然この子。あの表情は天ちゃんにしかできない。そして笑った顔もまた可愛い。超逸材なので頑張って！</div>
<div><br />
<br />
<br />
・新二期生<br />
<br />
<br />

<div>影ナレ、MC とガッチガチだったが、欅坂の一員としてようやく舞台に立てたことが大きい。</div>
<div>太陽は見上げる人を選ばないの二番登場、誰鐘の見せ場など、しっかり爪痕も残した。<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>・終わりに<br />
<br />
</div>
<div>この記事では、敢えて例のメッセージについては触れなかった。まだ整理がついていないとは言ったが、何よりも、このライブそのものが良かったといった事がそうさせたと言っても過言ではない（口実<br />
<br />
</div>
<div>事実、一人だけが目立つわけでもなく、当然見せ場らしい見せ場の数は違えど、主役がいない、全員主人公のライブだったように思える。誰鐘のパフォーマンスはその象徴と言えるのではないだろうか。<br />
<br />
<br />
</div>
<div>メンバーがここに全て懸けているのもわかった、クソ程悩んでここまで来たのもわかってる。だからこそ、何があっても彼女たちについていきたい。友香さんに嬉し涙を流してほしい。<br />
<br />
<br />
&nbsp;</div>
<div>そして何よりも、私にとって誰鐘のパフォーマンスは二度と忘れられないモノとなった。<br />
<br />
</div>
<div>涙ながらに「いつ鐘は鳴るの？」と訴えかけるメンバーもいたように見えた。活動休止に納得がいかないと思っているような表情をするメンバーもいた。流れに身を任せて踊るメンバーも、あの場にいたから出来上がった作品。あの瞬間は、欅坂が世界で一番美しかったに違いない。<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>「これからの最高な未来に向かって」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
</div>
<div>思い出、沢山作っていこうな。<br />
<br />
</div>
<div>ありがとう、そしてお疲れ様。私の大好きな欅坂 46。</div>
<div><br />
<br />
<br />
2020.07.16</div>
</div>
<div></div>
</div>
<div></div>
</div>
<div></div>
</div>
<div></div>]]>
    </description>
    <category>欅坂46</category>
    <link>https://ikutechi46.asukablog.net/Entry/56/</link>
    <pubDate>Thu, 16 Jul 2020 15:27:33 GMT</pubDate>
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  </item>

    </channel>
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